管理人のイエイリです。
前田建設工業と言えば、アニメ「マジンガーZ」に登場する地下格納庫兼プールを、実際に建設するといくらかかるのかといったプロジェクトに正面から取り組み、結果を公表する活動を続けてきたファンタジー営業部が今、話題になっています。
2020年1月31日には、同部署のサラリーマンの奮闘を映画化した「前田建設ファンタジー営業部」が公開されるのです。建設関係者はぜひ、映画館に足を運びたいですね。
そんな前田建設が、リアルな山岳トンネル工事分野でも最近、技術革新を進めています。
「切羽」と呼ばれる掘削最前面を発破などで掘った直後に、トンネル内壁を支える鋼製支保工と呼ばれる部材を設置する作業があります。
これまでは重機のオペレーター1人と、作業員数人で行っていた作業ですが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
支保工建込みロボット
を開発し、オペレーター1人だけで作業ができるようにしたのです。(前田建設のプレスリリースはこちら)
このロボットは、前田建設と古河ロックドリル、マック(本社:千葉県市川市)が共同開発したものです。自動追尾型トータルステーションなどで構成する「支保工位置ナビゲーションシステム」と、支保工位置の微調整が可能な「高性能エレクター」からなります。
支保工自体も改良し、人力作業を不要にしたものを使っています。
これまで人力と目視で行っていた鋼製支保工の位置合わせ作業を、ロボットが行うことで建込み精度が向上したほか、吹き付けコンクリートと支保工の建込みを並行作業で行うことにより、従来の3分の1の時間で鋼製支保工の建込みが可能になりました。
そしてこのほど、前田建設が施工中の宮崎218号平底トンネル新設工事(国土交通省 九州地方整備局発注)と広瀬1号トンネル工事(国土交通省 東北地方整備局発注)に導入し、生産性や安全性などの効果を確認しました。
さらに前田建設は、岐阜工業(本社:岐阜県瑞穂市)、マックの協力を得て、山岳トンネルの内壁に打設する覆工コンクリートを打設するための型枠を
自動で設置可能
にした「セントル自動セットシステム」を開発し、施工中の尾鷲第四トンネル(国土交通省 中部地方整備局発注)の現場に導入したのです。(前田建設のプレスリリースはこちら)
このシステムも自動追尾トータルステーションにより、セントル位置を測定していますが、ポイントは自動化です。
設計位置と実測位置の差に基づいて、セントルの天端や側フォームなどを設計位置に自動的に移動させるのです。
また、セントル端部の妻型枠設置作業も、伸縮可能な鋼製型枠やエアバルクで自動化しました。さらに自動走行機能も搭載しており、セントル設置位置まで自動的に移動します。
このシステムのおかげで、従来6人で行っていたセントルセット作業を、わずか2人で短時間に行えるようになりました。
これらの“トンネルロボ”で生産性向上が実現した今、マジンガーZの地下格納庫の工期やコストも、変わっているかもしれませんね。