管理人のイエイリです。
鋼橋やコンクリート橋の橋桁は、建築物に比べると一見、単純なように見えますが、線形が微妙にカーブしたり、傾いたりと、実はかなり複雑な形をしています。
最近は国土交通省が推進する「i-Construction」施策により、高い詳細度で橋梁を3Dモデル化した橋梁CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)モデルの作成や、3D空間上に寸法線やモデル情報などを表示する「3Dアノテーション(3DA)」の活用も求められています。
上の画像は、国土交通省の基準に沿って作られた、鋼橋の精密なCIMモデルですが、データの作成には3次元CADは使っていません。
では、どのようにして作られたのかというと、オフィスケイワン(本社:大阪市西区)が開発した「鋼橋CIMシステム」を使い、
ナ、ナ、ナ、ナント、
表形式のデータを自動変換
することにより、CIMモデル化したものなのです。(オフィスケイワンのプレスリリースはこちら)
鋼橋の橋桁(上部工)は、構造が複雑で部品点数も多いので、3次元CADを使った手作業によるモデリングでは、多大な労力が必要となります。
そこで鋼橋CIMシステムでは、専用の表形式の画面に線形座標や設計情報を数値や文字で入力するだけで、詳細度300~400の橋梁上部高のCIMモデル(3DAモデル)を自動作成してくれるのです。
自動作成される部材は、主桁や床組みから、床版、検査路、排水装置、添架物まで幅広く含まれています。
これだけのモデリングを自動的にやってくれるのですから、データ入力を考えても生産性は10倍くらいになりそうですね。
動作には別途、AutoCADとExcelが必要です。気になるお値段ですが、60万円から(1年単位のサブスクリプション、税別。以下同じ)となっており、2020年4月に発売されます。
また、同様に表形式のデータから詳細度300のPCコンポ橋(PC桁と床版を一体化して合成桁にした構造)のCIMモデルを作成する「PCコンポ橋CIMシステム」(40万円から、2020年4月上旬発売)や、「PC箱桁CIMシステム」(60万円から、2020年後半発売予定)も用意されています。
このほか同社では、DWG形式で作られたCIMモデルなどを
3次元PDFデータ
に変換する「CIM-PDF for dwg」(30万円~、2020年2月発売)も開発しました。
部材種類がレイヤー名で管理された3DA付きのCIMモデルを、おなじみのAcrobat Readerなどで見ることができます。
同社ではこれらのシステムを「橋梁CIMシステム」シリーズとして展開しています。
オフィスケイワンは2014年に創業した会社で、社員はこれまで橋梁業界とは縁がなかった人がほとんどです。
しかし、橋のCIMモデル作成を自動化するシステムを次々と開発したおかげで、半年もすれば複雑な橋のCIMモデルも自力で作ってしまうというから、驚きですね。