管理人のイエイリです。
「DWG互換CAD」と言えば、建設業界で広く使われているAutoCADのDWG形式と互換性のある低価格な2次元CADという認識をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
Graebert社(グレバート。本社:ドイツ・ベルリン)が開発・販売する「ARES」シリーズ(旧・JDraf)は、デスクトップで使う「ARES Commander」やタブレット、スマホで使う「ARES Touch」、そしてクラウド上で使う「ARES Kudo」からなるクラウド対応のDWG互換CADとして、日本でも3万~4万人のユーザー数を誇っています。
同社は2020年3月5日、最新バージョンとなる「ARES2020」の日本発売を機に、東京・秋葉原でユーザーイベント「Graebert Japan Annual Meeting 2020」とプレス発表会を開催し、驚くべき新機能の数々が紹介されたのです。
まずは、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトとの連携です。ARESシリーズの中核となる「Ares Commander」では、
ナ、ナ、ナ、ナント、
RevitやIFC形式
のBIMモデルを属性情報付きのまま読み込んで、ビューワーとして表示したり、詳細なCAD図面に仕上げたりすることができるのです。
それではいったい、どれくらいの大きさのBIMモデルを読み込んで図面化などを行えるのでしょうか。
試しに、先日、オートデスクが無料公開した、意匠、構造、設備を含むRevit用のサンプルBIMデータ(合計約300MB)を、読み込ませたところ、見事に表示されたのです。
しかし、ARES Commanderで一からBIMモデルを作ることはできません。あくまでもRevitなどで作ったBIMモデルありきで、その後工程となる詳細なCAD図面などの作成に特化した機能なのです。
Graebert社の調査によると、BIMを活用している企業でもBIMユーザー1人がいれば、その背後にCADユーザー3~10人を抱えている組織が多いからです。
ARES CommanderのBIM対応機能は、背後にいるCADユーザーの業務に特化して開発されたものと言えます。
2つめの驚くべき新機能としては、点群データを処理する「UNDET Point Cloud for ARES Commander」というプラグイン1年間6万円。税別()が用意されたことです。
これを使うと、ドローンや3Dレーザースキャナーなどで計測された点群データを読み込み、自動的に点群に面を張って3Dメッシュを作ってくれます。
すると、点群データを好きな面で切って断面図を作ることができます。
3つめの機能としては、ARES Commanderに
ESRIオンラインマップ
を読み込むMAPプラグインが標準装備(サブスクリプション有効期間)されました。
気になるお値段ですが、「ARES Commander」「ARES Touch」「ARES Kudo」を含んだスタンドアロン版(永久ライセンス)は8万2000円(税別)、2年目以降のサブスクリプションが1年間で1万5000円(税別)とリーズナブルです。このほかネットワーク版などもありますが、詳しくは価格表をご覧ください。
このほか、大成建設ではGraebertと共同で、会社のクラウドやARESなどのクラウドを一度でサインインできる「シングルサインオン(SSO)」を開発。クラウドシステムをセキュアかつ効率的に使えるようにしました。
もはやDWG互換CADは、DWGファイルが読み書きできるだけでなく、BIMや点群、マップ、そしてクラウドとの連携によって新たな価値を生み出す時代に入ってきたようです。