管理人のイエイリです。
河川工事と言えば、直線的な断面の堤防を作っていくようなイメージがありますが、その内側を流れる河道には瀬や淵があり、さらに水路が河原に入り込んだワンドのような部分もあります。
水辺には昆虫や魚、水草、小石などがあって、さながら自然の庭園のような風景ですね。
こうした風景はこれまで、自然に任せるしかありませんでしたが、これからは芸術家自らが川をデザインし、実際に作ることができるようになりそうです。
そのイメージをわかりやすく紹介したのが、国土交通省九州技術事務所がYouTubeに公開した「VRを使った水辺空間構築」という動画です。
VRを使った水辺空間構築(特記以外の資料:国土交通省九州技術事務所)
自然な川をデザインするツールは、CADではなく、
ナ、ナ、ナ、ナント、
ゲームエンジン
なのです。
その手順を紹介しましょう。
まずは川の現況地形を3次元計測して、3Dモデルを作っておきます。この計測には、実物の飛行機やドローン(無人機)に「グリーンレーザー」という計測機器を積むことによって、地上部分だけでなく、水面下の川底の地形まで点群データとして計測することができます。(詳しくは、2019年11月11日付けの当ブログ記事を参照)
続いて、現況の3Dモデルをゲームエンジンの「Unreal Engine」に入れて河道を3Dでデザインしていきます。例えば、ワンドを作る場合は、ペイントソフトの「消しゴム」のようなツールで3Dモデル上をゴシゴシこすっていくと、河原が削れてきて水たまりができます。
さらに、川底に小石を配置したり、水辺に植物などを配置したりして、完成イメージに近づけていきます。その過程では、VR(バーチャルリアリティー)ツールを使って、関係者が音声チャットしながらデザインを検討することもできます。
最後に、完成した地形データを3次元CADの形式に書き出し、
ICTブルドーザー
などで施工すると、デザイン通りのワンドが完成するというわけです。
VR界では、VRゴーグルを着けて3D空間を自由自在にデザインする芸術家の方もおられます。そんな才能を持った人が、河川のデザインを手がけると、面白いものがいろいろとできてきそうですね。
これらの技術は月刊誌「河川」(日本河川協会刊)の2020年3月号に41~45ページにわたって掲載されている「河川CIM(3次元川づくり)の考え方と標準化に向けた取り組み・課題」(中村圭吾、林田寿文、大槻順朗、小林一郎)という寄稿で詳しく紹介されています。

月刊誌「河川」(日本河川協会刊)の2020年3月号に41~45ページにわたって掲載されている「河川CIM(3次元川づくり)の考え方と標準化に向けた取り組み・課題」(中村圭吾、林田寿文、大槻順朗、小林一郎)という寄稿(資料:月刊「河川」より)
国土交通省が推進する「i-Construction」は、生産性向上だけでなく、川づくりに芸術性を持たせるという効果もありそうですね。