管理人のイエイリです。
鉄筋コンクリート構造物の施工現場で、鉄筋が設計通りに配筋されていることを確認する配筋検査は、非常に重要です。
そして準備から検査、報告書作成までは非常に多くの時間と労力が必要なので、建設会社にとっては悩みのタネでした。
そこで清水建設とシャープは、この作業を省力化する配筋検査システムを開発しました。
配筋が終わった現場を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3眼カメラで撮影
して鉄筋を3Dデータ化し、鉄筋の径や配筋間隔、本数を高精度に計測してくれるのです。(シャープのプレスリリースはこちら)
3つのカメラで鉄筋の配置状況を3方向から撮影して、奥行きを含めた鉄筋の3次元データを取得します。
その3次元撮影データを、シャープ独自の画像解析アルゴリズムで抽出・分析することにより、検査結果を表示します。
なお、このアルゴリズムは、シャープの8K映像処理技術を使って各社とコラボレーションする「8K+5Gエコシステム」の関連技術を発展させたものです。
検査結果の表示までの時間は、
わずか7秒程度
しかかからないのです。この時間は、検査対象範囲によって変化するとのことです。
さらにその結果を、検査帳票として使用できるデータに変換して報告書を簡単に作ったり、通信回線を介して遠く離れた場所にいる人とデータを共有したりすることもできます。
配筋検査はこれまで、複数の作業者がスケールで鉄筋を計測して、必要事項を記入した小黒板や検尺ロッドなどを配置して、“証明写真”を撮るという手順で行っていたので準備から撮影完了まで、多くの人工(にんく)が架かっていました。
一方、今回、開発されたシステムを使うと、1人の作業者がカメラで撮影するだけで、計測と証明写真の撮影が完了するので、大幅に省人化、省力化されます。また、複数の撮影画像が自動合成されるため、短時間で広範囲の検査を行うことができます。
最近、配筋検査を省力化するシステムの開発が、各社で活発に行われています。
例えば、スーパーゼネコンでは、ステレオカメラで鉄筋を3D化した鹿島、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とタブレットを使った大成建設、BIM、点群、ARを使った大林組があり、竹中工務店もBIMを使ったRC一貫生産支援システムを開発しています。
また、先日は中堅ゼネコン20社が結集し、AIによる3D配筋検査システムを共同開発するというニュースも注目を集めました。
このほか3Dスキャンカメラを使った三井住友建設、MR(複合現実)デバイスHoloLensを使ったIHIインフラコンソーシアム、タブレットを使った東急建設など、枚挙にいとまがありません。
これほど建設各社がしのぎを削っている分野も珍しいですね。配筋検査の効率化が、生産性向上の切り札となることを物語っていると言えそうです。