管理人のイエイリです。
建築分野の積算業務では、建物の2次元図面から面積などを地道に「手拾い」する作業がいまだに行われています。
例えば、下の図から面積表を作るときは、部屋の壁面に沿ってCADで丁寧にトレースし、面積を求めるという作業を繰り返すことになります。
積算作業は建材の発注にも影響する重要な作業ですが、手作業でやっている以上、ヒューマンエラーも起こりやすくなりますね。
そこで野原ホールディングスのVDC(Virtual Design & Construction)カンパニーは、ZENTA(本社:東京都渋谷区)、Nexus FrontierTech(本社:英国ロンドン)とともに、この作業を自動化するWEBサービス「TEMOTO」のベータ版を2021年3月30日に無料で一般公開しました。
2次元図面のPDFデータをアップロードすると、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIが各部屋を自動認識
して、各部屋の内法面積などを自動的に拾ってくれるのです。(野原ホールディングスのプレスリリースはこちら)
使い方はまず、「TEMOTO」のサーバーにアクセスしPDF図面をアップロードします。
そしてAI(人工知能)に図面の縮尺を教えるため、寸法線の一つを選んで両端をクリックし、実数値を入力します。そして、AIに建物の範囲を教えるため、外壁を囲むようにクリックしていきます。
するとAIが作業を開始して、部屋や壁、開口部の領域を認識し、各部の面積や長さなどを算出してくれます。
積算結果は約1時間でデータ化され、その結果が見られるURLがメールで送られてきます。
現在、認識できる図面は、一般住宅や集合住宅、ホテル、病院・福祉施設となっています。
図面の描き方や複雑さなどによっては、AIで解析できないこともあります。そんなときは、メールで「解析不可」という通知が来ます。
サービス名の「TEMOTO」は、漢字で書くと「手元(てもと)」のことで、建設業界では
職人を補助する人
という意味です。
つまり、AIを人間の“子分”として使うことで、人間が雑用から開放され、より付加価値の高い仕事に専念できるようにという願いが、このサービス名には込められているのです。
AIによって「人間の仕事が奪われる」という悲観的な考え方でなく、「人間の雑用を手伝ってもらう」と考えることで、AIが身近に感じられるようになりますね。