ドローン搭載ミリ波レーダーで耐火材厚を測定!阪大グループが出光興産の煙突を検査
2021年5月31日

管理人のイエイリです。

出光興産徳山事業所でこのほど、高さ150mの煙突内部でドローンを飛行させて、点検が行われました。

ドローンによる点検と言えば、デジタルカメラや赤外線カメラ、レーザースキャナーなどが知られていますが、このドローンの上部には、なんやら見慣れない装置が搭載されていました。

ドローンの上部に搭載された装置(以下の写真、資料:車輪の再発見)

この装置は「広帯域ミリ波レーダー」というもので、煙突内部で計測しているのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

耐火材の厚さ

だったのです。(車輪の大発見のプレスリリースはこちら

煙突内部のライニングに使われる耐火材の一例、耐酸キャスタブル

この計測を行ったのは、株式会社 車輪の再発見(本社:大阪市東淀川区)と、大阪大学大学院基礎工学研究科の永妻忠夫教授、易利(イー・リー)助教、大学院生の為則勇志さんと徳永遥さん、そしてJFE商事エレクトロニクス(本社:東京と千代田区)のグループです。

煙突内部は耐熱や防食のため、50~150mm厚の耐火材(ライニング材)で覆われています。

今回の実験は、そのライニング材の厚さを、ドローンに搭載したミリ波レーダー装置で「遠隔測定」しようというものです。

ドローンに搭載した送信アンテナから煙突内壁に向けて電波を発射します。すると耐火材の表面と裏面でそれぞれ電波が反射され、受信アンテナで受けた電波の波形に2つの山が現れます。

その山の時間差から、ライニング厚を測定できるというわけです。今回の煙突では、ライニング厚は76mmと推定されました。

ライニング材の表面と裏面で反射した電波が2つの山を作り、その時間差から厚さを計算する(左)。煙突の円周方向のライニング厚を画像化した例(右)

ドローンに搭載した広帯域ミリ波レーダーの構成図。ミリ波の周波数や帯域幅を決める光信号発生器や信号処理システムは地上に置き、ドローンとの間は光ファイバーケーブルなどでつなぐことでドローン搭載装置を軽量化している

煙突内部を上昇しながらライニング厚を計測するドローン。地上の装置と光ファイバーや金属ケーブルによって光信号やデータをやりとりする

今回、開発された広帯域ミリ波レーダーは、波長が異なる2種類の光信号をフォトダイオードによって電波に変換する機構を備えており、

1GHz~1000GHz

の範囲で任意の帯域の電波を自由自在に作ることができます。

そのため、周波数や帯域を変えることにより、様々な厚さの部材計測に使えるという応用範囲の広さが特徴です。

今回のライニング材厚計測では、4GHz~40GHzの帯域が最適であることも明らかになりました。

今後は検査の高速化や測位精度の向上、軽量化を図るための研究開発を進めていく予定です。そして将来はコンクリート橋梁のひび割れや亀裂などの計測も視野に入れています。

将来はコンクリート橋梁の点検への応用も目指す

しかし、ドローンから発信された電波が厚さ数十ミリのライニング材の奥まで到達し、その反射波までを受信できるとは、すごい時代になりましたね。

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