東亜建設工業がAIでバケット開閉を判断! ガット船の土砂投入位置を自動記録
2021年11月22日

管理人のイエイリです。

海上土木の護岸基礎工事や埋め立て工事では、バケット付きのクレーンを装備した「ガット船」と呼ばれる作業船を使います。

ガット船は、海上を移動しながら船倉に積み込まれた土砂を、つかんでは海中に投入する作業を繰り返します。

陸上の工事と違って、海底の土砂投入状況は目視できないので、施工管理のポイントは海面上のどこで、どれだけの量の土砂を投入したかを、正確に記録することにかかっています。

しかし、これまでは、オペレーターや施工管理者が、バケットが開いて土砂が投入されたことをその都度、目視判断して投入位置を記録していたため、利便性の改善とヒューマンエラーの防止が課題でした。

そこで東亜建設工業はこの記録作業を自動化しました。ガット船にカメラを搭載し、

ナ、ナ、ナ、ナント、

AIがバケット開閉を識別

し、GNSS(全地球測位システム)から取得した投入位置を自動的に記録する機能を追加したのです。(東亜建設工業のプレスリリースはこちら

カメラとAIで土砂投入位置を自動記録するシステムのイメージ(以下の資料、写真:東亜建設工業)

バケットが「閉じている」とAIが判断した映像

バケットが「開いた」とAIが判断した映像

GNSSのデータから土砂投入位置を自動記録した画面

技術開発のポイントは、AI(人工知能)の画像認識技術で、カメラで撮影したバケットの映像から、開閉動作を高精度に識別できるようにしたことです。

AIにバケットの開閉を教え込む「教師データ」には、実際の港湾工事で撮影した映像を使っています。そのため様々なバケット形状に適用できます。

従来のガット船に、カメラを追加するだけなので機器構成もシンプルになっています。

投入判定エリアは自由に設定できるので、船倉内を投入判定エリアから外すことで、土砂をバケットでつかむ際に、誤って投入位置として記録されることはありません。

船倉内でバケットを開いても投入位置としては記録されない

土砂の投入位置や回数などの作業履歴が自動記録できるため、業務効率や生産性の向上が期待できます。

今後の展開としては、海底の現地盤の地形に応じて土砂の投入位置や投入量を

AIが自動的に指示

できるようにすることで、さらなる効率化や省力化を図れるシステム構築にも取り組んでいく予定です。

さらにはAI画像認識技術で、作業員の転倒や海中への転落事故の検知など、安全管理への機能拡張も視野に入れています。

同社はこのシステムを港湾工事に試験的に導入し、有効性を確認した結果、NETISに既に登録済みの「無線式ガット船施工支援システム(NETIS登録番号:KTK-1100005-VE)」に機能補充を行い、更新しました。

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