管理人のイエイリです。
三菱電機は道路を走行しながら周辺構造物を計測する「三菱インフラモニタリングシステムII(MMSD II)」を開発し、点検サービスを提供しています。
車両には3Dレーザースキャナーや8Kカメラなどを搭載し、周辺の構造物を高精細画像や点群データで記録し、コンクリートのひび割れなどを発見するシステムです。
これまでは、高精細カメラと3Dレーザースキャナーの併用で0.3mm幅のひび割れまで検出できるとされてきました。
ところがこのほど、同社のAI(人工知能)技術「Maisart(マイサート)」を使ってひび割れの自動検出を行うシステムを開発したところ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
幅0.1mmのひび割れ
を95.9%の確率で検出できるようになったのです。(三菱電機のプレスリリースはこちら)
走行しながら取ったデータで、こんなに細いひび割れを見つけるとは、すごい時代になりましたね。
進化の秘密は、AIを教育する「教師データ」にありました。様々なコンクルート構造物表面の高精細データを、同社の豊富な知見に基づいてひび割れ領域をラベル付けし、ひび割れ検出に最適な教師データを作成したのです。
そしてAIには、複数の学習モデルを組み合わせた独自構造のものを開発し、ひび割れ領域を重点的に学習させることで検出精度を向上させることに成功しました。
ひび割れ検出率は、画像を128ピクセル角のブロックに区切り、「正解」と一致したブロック数と「正解」のブロック数を比較したものです。
このMMSD IIの点検車両には、
鉄道用の車輪が格納
されており、線路の上を走行することもできるのです。
三菱電機は、国土交通省の「AI開発支援プラットフォーム」の開設準備ワーキングに参加し、AIの現場実装に向けた活動を進めています。
同社では今回、開発した技術を2022年4月までに「MMSD計測・解析サービス」として提供開始するほか、ひび割れ以外の漏水や遊離石灰などの変状検出にも対応できるように開発を進めていく予定です。
現場をデジタルカメラや3Dレーザースキャナーで計測して「デジタルツイン化」すると、そこにAIが参加して人間の代わりにひび割れを検出したり、レポートを作ったりしてくれる時代になってきました。維持管理分野の人手不足問題を解決する有力なソリューションになりそうですね。