配筋検査システムの開発が佳境に! ゼネコン21社連合、国交省PRISMのシステムが2023年度に実用化
2022年4月14日

管理人のイエイリです。

鉄筋コンクリート構造物の施工管理で、最も重要なのが配筋検査です。しかし、その検査には鉄筋の上にメジャーテープを縦横に配置したり、鉄筋径の証明にはノギスの目盛りを接写したりするなど、現場だけでも2~3人の作業者が必要です。

さらに現場事務所に戻ってからも、野帳に手書きした数値をパソコンで検査帳票に入力し、写真を整理する作業が待っていいます。

こうした大変な作業を効率化しようと、松村組など中堅ゼネコン21社とプライム ライフ テクノロジーズ(本社:東京都港区)は、2020年9月に共同研究開発契約を結び、「配筋検査システム」の開発を進めています。

●共同開発に参加した21社(50音順)
青木あすなろ建設、淺沼組、安藤・間、奥村組、北野建設、熊谷組、五洋建設、佐藤工業、大末建設、髙松建設、鉄建建設、東急建設、戸田建設、飛島建設、西松建設、日本国土開発、長谷工コーポレーション、ピーエス三菱 松村組、村本建設、矢作建設工業(2022年3月現在)

その特長は、専用カメラで撮影した鉄筋の写真から、

ナ、ナ、ナ、ナント、

鉄筋の立体配置を認識

できることなのです。(松村組のプレスリリースはこちら。各社のウェブサイトにも同様のリリースがあります)

鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム」のイメージ(資料:ゼネコン21社)

鉄筋の立体配置を認識する「配筋検査システム」のイメージ(資料:ゼネコン21社)

配筋検査に使用する専用カメラ。3眼を備えている(資料:ゼネコン21社)

配筋検査に使用する専用カメラ。3眼を備えている(資料:ゼネコン21社)

配筋データの入力画面イメージ(資料:ゼネコン21社)

配筋データの入力画面イメージ(資料:ゼネコン21社)

このシステムは、専用カメラで配筋状態を撮影すると、21社が開発中のAI(人工知能)で鉄筋を認識し、鉄筋の径や間隔、本数、配置などを立体的に捉える仕組みになっています。

プライム ライフ テクノロジーズは、パナソニック ホールディングスやトヨタ自動車、三井物産が出資し「くらしとテクノロジーの融合」による未来志向のまちづくりを目指して2020年1月に設立されました。同社はパナソニックと共同で、配筋検査用システム、カメラデバイス、アプリケーションを開発しています。

21社とプライム ライフ テクノロジーズは、2022年度に検査業務時間を60%削減することを目指して、建設現場で配筋検査システムの実証実験を行います。その後、2023年度からの本格運用を目指します。

実証実験では、次のような仕様や性能の実現を目指します。

●実証実験で目指す仕様
●構造設計図から、配筋検査のためのデータを登録・作成できること
●専用カメラを用いて撮影した画像をもとに、配筋検査(本数、鉄筋径、間隔、配置)の計測ができること
●登録した設計データと計測結果をもって、自動照合ができること(自動照合可能範囲は、段階的に拡大させる)
●鉄筋配置の断面形状を出力できること
●検査結果をクラウドサーバにアップロードして関係者と共有できること
●実施した検査記録を検査帳票として出力できること
●是正箇所のトレーサビリティが残ること
実証実験で目指す性能(資料:ゼネコン21社)

実証実験で目指す性能(資料:ゼネコン21社)

配筋検査システムの使用手順(資料:ゼネコン21社)

配筋検査システムの使用手順(資料:ゼネコン21社)

一方、配筋検査システムについては、国土交通省の官民研究開発投資拡大プログラム(通称:PRISM)でも、5つのコンソーシアムが開発に取り組んできました。

そして2021年7月に国土交通省が「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測に関する試行要領(案) 」を公表しました。

国交省でも2022年度には試行対象を拡大し、実施要領を作成していき、

2023年度の社会実装

を目指しています。

配筋検査システム開発に取り組んできた5つのコンソーシアム(資料:国土交通省)

配筋検査システム開発に取り組んできた5つのコンソーシアム(資料:国土交通省)

「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測」のイメージ(資料:国土交通省)●配筋検査システム開発に取り組んできた5つのコンソーシアム(資料:国土交通省)

「デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測」のイメージ(資料:国土交通省)

ゼネコン21社の共同研究や、国交省の5つのPRISMから生まれた配筋検査システムは、2023年度にいよいよ本格的に花開きそうです。建設現場の働き方も、このころにはかなり変わってきたという実感が持てるのではないでしょうか。

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