管理人のイエイリです。
建設業の死亡事故で、毎年、最も多いのが高所からの墜落や転落です。厚生労働省は2019年2月から安全帯の規格はフルハーネス型を原則都市、安全基準を厳格化しました。
せっかくのフルハーネスも、肝心のフックを親綱にかけていないと意味がありません。そこで現場の安全管理員は、フック不使用者を血眼で発見し、注意することになります。
しかし、現場を目視し続ける業務は、安全管理上、重要ではあるものの、あまり生産性が高いとは言えません。
そこで奥村組と日立ソリューションズは、安全帯のフック不使用者を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIで自動検知
するシステムを構築したのです。(奥村組のプレスリリースはこちら)
このAI(人工知能)は、建設現場のカメラ映像から、親綱や支柱、フックを検出し、フックが親綱にかかっていない不使用状態を自動判定することができます。
AIの学習には、複数の現場で収集した6000件以上の画像を使いました。両社はフック不使用者の判定フローやAI判定手法を共同で行い、奥村組は映像データの提供、日立ソリューションズはAIモデルの構築と精度検証を行いました。
そして、2021年7月~2022年1月、埼玉県内の鉄骨建方中の現場で検証を行い、「カメラと作業員の距離が15m以内」かつ「人や物が重なっていない」という条件下では、フック不使用者を90%以上の精度で正しく判定できることを確認したのです。
今後は2022年夏からさらに共同開発を行い、フックの不使用状態が一定時間続いた場合に、メールや警報機器で管理者や現場の作業員に通知する機能を付加してシステム化します。
そして、
2023年から販売を開始
する計画です。
つまり、「買って使えるAI」になるわけですね。これによって各社も、安全管理の強化と省人化を同時に行えるようになりそうです。
人間の目視という手段は、様々な問題を発見できるため、建設現場の施工管理でも多用されています。しかし、この人手不足時代には、監視のためだけにずっと張り付いている作業はもったいないですね。
今回のシステム開発には、日立ソリューションズの「画像判定トータルソリューション」というプラットフォームが使われました。
画像とAIを組み合わせて、危険行動の検知のほか、製品の欠陥や廃棄物の分別、類似図面の検索など、様々な課題解決を行えるとのことです。
「現場の目視」という業務を、AIに置き換える方法が、だんだん使いやすくなってきたようです。