管理人のイエイリです。
最近の家具は、引き出しの開閉などがとてもスムーズです。その理由は、少しの力でなめらかに開閉する「スライドレール」が内蔵されているからです。
家具金物メーカーの老舗企業、スガツネ工業(本社:東京都千代田区)は、さらにデザイン的にも洗練され、引き出しを開けても側面にスライドレールが見えない「アンダーマウント型レール」を開発・販売しています。
中でも、「プッシュオープン&ソフトクロージング機構付き」のタイプは、引き出しを押すと開き、閉める途中で手を離してもソフトに閉まるので、手を使わないでも開け閉めできるスグレモノです。
しかし、このレールを使って特注の家具を作ろうとすると、レールの厚さや部材同士のクリアランスなど、様々な細かい寸法を計算して設計することが必要です。
この面倒な作業を一掃するため、同社は2022年6月13日、「アンダーマウント型レール 設計・製造支援ツール」のウェブサイトを公開しました。
特注家具の主要寸法を入力するだけで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
CAD図面を自動作成
し、DXF形式とPDF形式でメール送信してくれるのです(スガツネ工業のプレスリリースはこちら)
例えば、上図は引き出し1段が付いた家具の納まり図です。アンダーマウントレールの部材寸法や取り付け位置、キャビネットとの位置関係などは自動計算されるので、細かい寸法を気にする必要は一切ありません。
私も試しにこのツールを使ってみましたが、とても簡単でスピーディーでした。
まずは、レールのタイプと妻板の高さ・色を選びます。次の画面でキャビネットの幅や奥行き、高さ、板厚などを入力するだけです。
最後に会社名や名前、メールアドレスを入力すると、すぐにPDF形式とDXF形式で、納まり図、ユニット図、部材ごとの加工図がメールで送られてきます。
ユニット図は引き出し単体の図面で、引き出しのサイズや部材の「勝ち負け」が確認できます。
また、加工図は引き出しの各部材と、キャビネットの各部材の図面が、部材ごとに描かれています。穴加工の位置や寸法、溝加工の長さ深さまで自動計算し、図示しているという丁寧さです。
さらにスゴいのは、CAD図面だけでなく
木材加工機用の座標
データも、CSV形式で入手できることです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトなどで家具を設計した後、この「アンダーマウント型レール 設計・製造支援ツール」に引き継げば、工場で自動生産できるというわけですね。
建築設計と工場生産の連携による建設DXへの道が、ついに開かれてきたようです。