管理人のイエイリです。
iPhone 13 ProやiPad Proなど、LiDAR(ライダー)と呼ばれるセンサーを搭載したモバイル端末で、現場の点群計測を行う人が急速に増えています。
その一方で、「精度はいったい、どれくらい?」「上手に点群計測する歩き方とは?」「スキャンアプリはどれを使うべき?」などと、お悩みの方もおられるでしょう。
そんなお困りごとを解消しようと、モバイルスキャン協会(共同代表理事:桑山優樹氏、松尾泰晴氏)は2022年6月13日に、「モバイル端末スキャンマニュアル」を無料で公開しました。
その内容には、
ナ、ナ、ナ、ナント、
点群計測のノウハウ
が凝縮されているのです。(ダウンロードはモバイルスキャン協会のウェブサイトから)
例えば、計測したい地面や壁にiPhoneを向けるときは、できるだけ正対させることや、距離は1.5~2.0mを空けることを推奨しています。
歩き方はできるだけ「前進」を心がけ、後退や横移動は極力されること、回転するときは画面に入る範囲を大きくし、急な回転は避けること、そして地面と壁の境界などを丁寧に計測することなどを勧めています。
そして、一度にスキャンする範囲は5×10mくらいとし、短い辺の方向をジグザクに移動しながら、約2分以内で計測することとしています。
もう少し広い範囲を一度に計測した方がいいのではとお思いの方もおられるでしょうが、iPhoneで点群計測を行っていると発熱し、「熱暴走」を起こしやすくなるため、この範囲がちょうどいいそうです。
これらのノウハウは、「モバイル端末でのスキャン方法」というYouTube動画にまとめられており、実際の歩き方やスピードなどがわかります。
そして、参考資料の1つでは、計測したデータの
精度を徹底検証
しています。
iPhoneで点群計測を行った現場に、「検証点」を設け、トータルステーションとiPhoneで計測した点群の座標を比較したのです。
その結果、両者の誤差はXYZ方向とも14mm以内で、基準値(50mm)以内に入っており、「合格」であることがわかりました。
もう一つの参考資料では、同協会の理事である岩間輝氏による「iPhone 3Dスキャンアプリ」の最新情報がまとめられており、9種類のアプリについて機能や特徴などがまとめられています。
この貴重なマニュアルは、同協会のメンバーが静岡県での合宿や現場検証、オンライン会議を重ねて、共同作業の上で作られました。
そのメンバーには、土木関係者や建築関係者、さらには考古学研究者が含まれており、居住地も北海道から静岡県、三重県と様々です。
今回のマニュアルは、どちらかというと土木現場向けですが、今後、建築現場向けのマニュアルも作成する計画です。各部屋を別々に計測し、つなぎ合わせることでフロア全体の高精度な点群データを作る方法などを紹介する予定とのことですので楽しみですね。