防犯カメラとAIで洪水の水深をリアルタイム計測! 千葉県茂原市でフィールド検証始まる
2022年10月3日

管理人のイエイリです。

ここ数年、台風や豪雨による水災が、全国各地で目立っています。今後も、地球温暖化の進行により、こうした浸水の被害はさらに増加することが予想されます。

そこでパスコらが創立した「防災コンソーシアム(CORE)」の「リアルタイムハザードマップの開発」分科会では、従来の静的なハザードマップを進化させた「リアルタイムハザードマップ」の開発を進めています。

その一環として、同分科会は2022年5月19日、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の大型降雨実験施設で浸水の発生を検知したり、浸水深を把握したりするための大規模な実証実験を行いました。

防災科学技術研究所で行われた実験風景(以下の写真、資料:パスコ)

防災科学技術研究所で行われた実験風景(以下の写真、資料:パスコ)

実験によって再現された浸水状況

実験によって再現された浸水状況

リアルタイムに浸水深などを測るために用いたのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

防犯カメラの映像

だったのです。(パスコのプレスリリースはこちら

防犯カメラで撮影された様々な映像

防犯カメラで撮影された様々な映像

この日の実験では、時間雨量15mm~300mmまでの降雨を発生させて、施設内に設置したプールの浸水状況を、セコムの防犯カメラで撮影しました。

日本観測史上、最大の時間雨量は153mmだそうですから、実験の強烈さがうかがえますね。

防犯カメラで撮影した映像から、浸水深を割り出すために、パスコが開発したAI(人工知能)解析技術を用いました。

水面のほか自転車やクルマなどの対象物を識別して、浸水深を解析するものです。

防犯カメラ映像のAI解析で推定された浸水深は、応用地質の防災IoTセンサーで計測した“正解”と比較し、誤差を解析したのです。

実験後にデータ検証を進めた結果、防犯カメラ映像を解析した浸水深との誤差は、

数センチ以内

であることがわかったのです。

実験の進行に伴う水位の変化。防犯カメラで推定した浸水深の誤差は数cm以内で、十分な精度を持っていることがわかった

実験の進行に伴う水位の変化。防犯カメラで推定した浸水深の誤差は数cm以内で、十分な精度を持っていることがわかった

この実験の成功により、防犯カメラを使ったリアルタイムハザードマップ計画は前進し、2022年10月から千葉県茂原市の協力を得て、浸水が懸念される地点に防犯カメラを設置してフィールド検証を行います。

そして、AI技術のさらなる精度向上につとめ、2023年度中に「リアルタイムハザードマップ」の事業化を目指すとのことです。

いまや、全国の津々浦々に、防犯カメラが設置されており、犯人逮捕などに役立っていることは様々な報道で見聞きします。

その無数のカメラ映像を使って、リアルタイムに浸水深の分布がわかるようになれば、避難や救出などの救助などの初動が早くなり、被害の最小化に大いに役立ちそうですね。

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