清水建設らが重機用AIカメラ「カワセミ」を開発! 人の“視線”を認識し、作業をじゃましないアラートを発報
2023年11月6日

管理人のイエイリです。

狭い空間内で複数の重機が稼働する山岳トンネル現場では、重機と作業員の接触を防ぐことが、安全管理上の大きな課題です。

バックホーなどの重機の後方には多くの死角があるため、作業員を自動的に検知したり、距離を推定したりできる監視カメラステムも製品化されています。

しかし、作業員がしゃがんでいたり、体の一部が隠れていたりすると、検知精度が下がってしまうなど、機能面での制約もありました。

そこで清水建設は、東京大学発のAI(人工知能)ベンチャー、Lightblue(本社:東京都千代田区)、日本道路グループのエヌディーリース・システム(本社:東京都港区)と共同で、重機用の安全監視カメラシステム「カワセミ」を開発しました。

重機搭載用の安全監視カメラシステム「カワセミ」の概念図(以下の資料:清水建設)

重機搭載用の安全監視カメラシステム「カワセミ」の概念図(以下の資料:清水建設)

その特長は、画像解析AIが作業員や車両を自動的に検知するだけでなく、

ナ、ナ、ナ、ナント、

作業員の姿勢まで

見分けて、しっかりと監視してくれることなのです。(清水建設のプレスリリースはこちら

AIによって認識された作業員の姿勢。人体の右側は赤線、左側は青線で区別して認識し、×印は足元の位置を安全側に推定したもの

AIによって認識された作業員の姿勢。人体の右側は赤線、左側は青線で区別して認識し、×印は足元の位置を安全側に推定したもの

カワセミの画像解析AIは、作業員を人体の「骨格」レベルまで認識し、人体の右側は赤線、左側は青線で区別します。

さまざまな姿勢の骨格を機械学習しているため、しゃがんだ姿勢や荷物などに体の一部が隠れている場合でも、人の存在を検知できます。

さらに、目・鼻・耳の位置関係を基に、その人が重機を視認し、気づいているかまでも判断します。視認の有無によって、危険度を「注意」から「警告」へと段階的に判断することができるのです。

骨格推定技術により、目・鼻・耳の位置関係から顔の向きを判定し、重機を視認しているかを確認できる。視認していない場合は「警告」アラートとして赤枠(左側)、視認している場合は「注意」アラートとして黄色の枠でオペレーターに通知する

骨格推定技術により、目・鼻・耳の位置関係から顔の向きを判定し、重機を視認しているかを確認できる。視認していない場合は「警告」アラートとして赤枠(左側)、視認している場合は「注意」アラートとして黄色の枠でオペレーターに通知する

そのため、作業員が重機に気づいていることも、オペレーター側に伝わるため、

過剰なアラート

表示によって、作業が遅れることもありません。

このほか、車両を検知する機能も備えており、重機と車両の衝突回避にも効果を発揮します。

カワセミの開発に当たっては、清水建設とLightblueが検出アルゴリズムの開発、エヌディーリース・システムが販売計画と販路開拓をそれぞれ担当し、3社で現場実証を行ってきました。

今後は清水建設や日本道路の現場に導入を進めるとともに、一般への販売やリースも行っていく方針です。

カワセミの実機は、2023年11月9日~10日、東京ビッグサイトで開催される「ハイウェイテクノフェア2023」(主催:高速道路調査会)の清水建設ブース(西3ホール、小間番号:A-52)に展示されるので、ご興味のある方は出掛けてみてはいかがでしょうか。

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