スマホのLiDAR点群から気流解析! 岩崎電気らが気流可視化システムを開発、サービス展開へ
2023年11月29日

管理人のイエイリです。

コロナ禍以来、病院の待合室やオフィスの会議室などでの感染を防止するため、空気の流れや汚染物質の分布などに対する関心が高まっています。

これまでの熱流体解析は、解析に先立って、室内の壁や家具などを単純化した3Dモデルを手作業で作製するという手間ひまがかかっていました。

待合室の例。これまでは、気流解析を行うために、手作業による3Dモデル作製が必要だった(特記以外の写真、資料:岩崎電気)

待合室の例。これまでは、気流解析を行うために、手作業による3Dモデル作製が必要だった(特記以外の写真、資料:岩崎電気)

そこで、岩崎電気(本社:東京都中央区)は国立病院機構仙台医療センター臨床研究部ウイルスセンター(所在地:宮城県仙台市)、メディエアジャパン(本社:神奈川県横浜市)と共同で、実空間の気流を現場で簡単に確認できる「気流可視化システム」を開発しました。

現場の3Dモデルを取得するために使うのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

スマホのLiDARセンサー

なのです。(岩崎電気のプレスリリースはこちら

iPhoneやiPadに搭載されているLiDARセンサーの例(写真:Apple)

iPhoneやiPadに搭載されているLiDARセンサーの例(写真:Apple)

LiDARで計測した3Dモデルに気流シミュレーションの結果を合成した例。風速が色で表示されている

LiDARで計測した3Dモデルに気流シミュレーションの結果を合成した例。風速が色で表示されている

スマホやタブレット端末に搭載されているLiDARセンサーで室内を計測・3Dモデル化し、気流解析を行った結果を3Dモデルに重ねて表示することで、実際の室内にある空調機や空気清浄機などからの空気の流れを現場で分かりやすく確認できます。

このシステムは、仙台医療センターの病院施設で実際に使用し、室内の風速分布や模擬汚染粒子の空間濃度分布の解析などを行いました。

室内の風速分布の解析例

室内の風速分布の解析例

模擬汚染粒子の空間濃度分布の解析例

模擬汚染粒子の空間濃度分布の解析例

肉眼では、エアロゾルや浮遊汚染物質が室内のどこに滞留しているのかは見えません。

しかし、このシステムで可視化することにより、

空気清浄機の設置

などの設置による「ビフォー」「アフター」の効果がわかるので、室内空気質(IAQ)改善の具体策を検討できます。

対策前の室内。部屋の左奥に空気が滞留し、高濃度の汚染物質が分布している

対策前の室内。部屋の左奥に空気が滞留し、高濃度の汚染物質が分布している

改善後の室内。部屋の左奥に空気清浄機を設置すると、汚染物質の濃度が低くなったことが分かる

改善後の室内。部屋の左奥に空気清浄機を設置すると、汚染物質の濃度が低くなったことが分かる

岩崎電気は今後、同社で行ってきた気流可視化研究による気流と空間粒子の動きや、空気循環式紫外線清浄機「エアーリア」や、紫外線で細菌を不活性化する上層空間UVGI装置の設置による影響などの実測データを使って、気流可視化システムの精度を高めていく方針です。

そしてこのシステムを活用し、空気循環式紫外線清浄機や換気、空調の適正提案による節電などを、信頼性の高い空間環境ソリューションとして展開していく予定です。

空間環境ソリューションのサービスの流れ

空間環境ソリューションのサービスの流れ

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