建設中の渡島トンネル内が4G通信エリアに! Starlinkと0.8GHz帯電波で「119」番通話も可能に
2024年8月1日

管理人のイエイリです。

山岳トンネルの工事現場は、携帯電話の圏外に位置することも多く、さらに長距離のトンネル坑内でWi-Fiを使えるようにするためには、100m以内ごとにWi-Fiルーターを設置する必要がありました。

そのため、クラウドやロボットなどで、建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組みたくても、通信環境が大きなネックとなっていました。

しかし清水建設が建設中の北海道新幹線 渡島トンネルの現場では2024年7月25日、掘削最前線の「切羽」まで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

坑内で4G携帯回線

 

が使えるようになったのです。(清水建設のプレスリリースはこちら

そのため、トンネル内で万一、事故などが起こった場合でも、坑内から直接「119番通報」などが行え、迅速な事後対応が可能になります。

トンネル坑内の4G携帯回線を使って、切羽掘削面の映像をトンネル外の事務所に送り、オンライン会議を行う技術者(写真:清水建設)

トンネル坑内の4G携帯回線を使って、切羽掘削面の映像をトンネル外の事務所に送り、オンライン会議を行う技術者(写真:清水建設)

山間部に位置する山岳トンネル現場の坑内で、4G携帯回線を使えるようにする取り組みは、同トンネルの発注者である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(本社:神奈川県横浜市)と清水建設、KDDIが共同で行ったものです。

トンネル坑内に4G携帯回線を導入するために、衛星通信「Starlink」を活用したauの通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を採用しました。

「Satellite Mobile Link」でトンネル坑内の工事現場に、通信エリアを構築したのは日本初とのことです。

トンネル坑内に4Gの通信エリアを構築したイメージと効果(資料:清水建設)

トンネル坑内に4Gの通信エリアを構築したイメージと効果(資料:清水建設)

Starlinkを使って4G通信エリアを広げる「Satellite Mobile Link」のイメージ(資料:KDDI)

Starlinkを使って4G通信エリアを広げる「Satellite Mobile Link」のイメージ(資料:KDDI)

今回、使用された4G携帯回線の周波数帯は800MHz(0.8GHz)で、Wi-Fiの2.4GHz帯や5GHz帯に比べて低周波のため、トンネル内の大型設備を回折しながら500m以上も届きます。

そのため、トンネル坑内に設置するアンテナの数もぐっと少なくなり、通信インフラの整備が楽になります。

特に、切羽から200m以内では、発破による損傷を防ぐため通信設備を設けることが難しいですが、長い距離を飛ばせる4G回線だと そんな心配もいりません。

トンネル坑内で4G回線が使えるようになると、発注者による立会検査をオンライン会議で行う

 

遠隔臨場の範囲も拡大

 

するので、発注者の働き方改革にもつながりそうですね。。

トンネル坑内で4G回線が使えるようになると、遠隔臨場によって発注者もトンネル坑内まで行く必要がなくなり、働き方改革につながりそうだ(資料:清水建設)

トンネル坑内で4G回線が使えるようになると、遠隔臨場によって発注者もトンネル坑内まで行く必要がなくなり、働き方改革につながりそうだ(資料:清水建設)

これまで建設現場の情報通信ネットワークは、Wi-FiやLANケーブルによるものがメインでした。しかし、配線やルーター設置の手間を考えると、Starlinkで携帯回線やインターネット回線に接続し、ローカル4Gの携帯回線で現場全体をカバーするという方法も、有力なソリューションになってきそうです

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