管理人のイエイリです。
山岳トンネルの工事現場は、携帯電話の圏外に位置することも多く、さらに長距離のトンネル坑内でWi-Fiを使えるようにするためには、100m以内ごとにWi-Fiルーターを設置する必要がありました。
そのため、クラウドやロボットなどで、建設DX(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組みたくても、通信環境が大きなネックとなっていました。
しかし清水建設が建設中の北海道新幹線 渡島トンネルの現場では2024年7月25日、掘削最前線の「切羽」まで、
ナ、ナ、ナ、ナント、
坑内で4G携帯回線
が使えるようになったのです。(清水建設のプレスリリースはこちら)
そのため、トンネル内で万一、事故などが起こった場合でも、坑内から直接「119番通報」などが行え、迅速な事後対応が可能になります。
山間部に位置する山岳トンネル現場の坑内で、4G携帯回線を使えるようにする取り組みは、同トンネルの発注者である鉄道建設・運輸施設整備支援機構(本社:神奈川県横浜市)と清水建設、KDDIが共同で行ったものです。
トンネル坑内に4G携帯回線を導入するために、衛星通信「Starlink」を活用したauの通信エリア構築ソリューション「Satellite Mobile Link」を採用しました。
「Satellite Mobile Link」でトンネル坑内の工事現場に、通信エリアを構築したのは日本初とのことです。
今回、使用された4G携帯回線の周波数帯は800MHz(0.8GHz)で、Wi-Fiの2.4GHz帯や5GHz帯に比べて低周波のため、トンネル内の大型設備を回折しながら500m以上も届きます。
そのため、トンネル坑内に設置するアンテナの数もぐっと少なくなり、通信インフラの整備が楽になります。
特に、切羽から200m以内では、発破による損傷を防ぐため通信設備を設けることが難しいですが、長い距離を飛ばせる4G回線だと そんな心配もいりません。
トンネル坑内で4G回線が使えるようになると、発注者による立会検査をオンライン会議で行う
遠隔臨場の範囲も拡大
するので、発注者の働き方改革にもつながりそうですね。。
これまで建設現場の情報通信ネットワークは、Wi-FiやLANケーブルによるものがメインでした。しかし、配線やルーター設置の手間を考えると、Starlinkで携帯回線やインターネット回線に接続し、ローカル4Gの携帯回線で現場全体をカバーするという方法も、有力なソリューションになってきそうです