管理人のイエイリです。
建物の省エネ性能を高め、太陽光発電などの創エネによって、年間エネルギー収支ゼロを目標とした「ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング」(ZEB)の設計では、空調や換気、照明、給湯、昇降機などを最適に組み合わせた高効率設備を選定する必要があります。
これまでのZEB提案では、エネルギー計算の対象となる、建物の詳細な図面を作成した後、設備機器を選定し、省エネ計算を行っていたため、検討に多くの時間を要していました。
そこで三井住友建設は、この検討時間を減らすため、地域や用途などに応じた「基準建築物」に対する一次エネルギー消費量の割合を示した「省エネレベル(BEI)」を短時間で判定できる簡易評価システム「ZEViewer」を開発しました。
このシステムによって、建物のZEB仕様決定にかかる作業時間は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
従来の6分の1程度
に短縮できるのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら)
これまでの経験により、建物の一次エネルギー消費量は、「室用途」と「その室に設置する設備機器の仕様」によって大部分が決まることがわかっていました。
そこで、このシステムでは、詳細な計算によって設備機器の出力を決める作業を、建物の単位面積当たりの値に置き換えることで、省エネ計算を大幅に簡略化したのです。
これにより、ZEB仕様の決定にかかる作業時間を従来の6分の1程度に短縮しました。
これだけ単純化すると、従来の方法に比べて精度がどうなのかが気になりますが、BEI算出結果と比較して、
誤差は2%以下
となることを確認しました。
これだけ小さな誤差で、大幅に検討時間を短くする方法を発見できたのは、技術者の経験と勘のおかげでしょうか。短期間での設計提案でも有効に活用できそうです。
また、ロジックがシンプルなので、この計算方法や設備のデータベースを生成AI(人工知能)に学習させておけば、諸室一覧表を読み込ませるだけで、ZEBの提案書を作ってくれるようになるかもしれませんね。