清水建設がStarlinkで点群データをリアルタイム伝送! 遠隔現場の3D施工管理が可能に
2024年9月10日

管理人のイエイリです。

最近、人工衛星を経由してインターネット回線が使える「Starlink」の建設現場での活用が進みつつあります。

2024年8月5日~6日、清水建設はKDDI、KDDI総合研究所、KDDIスマートドローンと、施工中の北海道新幹線 渡島トンネルの現場にauが提供する「Starlink Mobile Link」を使い、トンネル坑内を移動する四足歩行ロボットからのデータを東京都内の実験事務局にリアルタイム伝送する実験を行い、成功を収めました。

渡島トンネルの現場を移動する四足歩行ロボット。アスクの協力で提供を受けたUnitree製のもの(以下の写真、資料:清水建設)

渡島トンネルの現場を移動する四足歩行ロボット。アスクの協力で提供を受けたUnitree製のもの(以下の写真、資料:清水建設)

現場に設置されたStarlink用のアンテナ

現場に設置されたStarlink用のアンテナ

東京都江東区にある「温故知新の森NOVERA」で、リアルタイム伝送されたデータを検討する技術スタッフ

東京都江東区にある「温故知新の森NOVERA」で、リアルタイム伝送されたデータを検討する技術スタッフ

この実験で、リアルタイムに伝送したのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

点群データ

 

だったのです。(清水建設のプレスリリースはこちら

リアルタイム伝送されたトンネル坑内の点群データ

リアルタイム伝送されたトンネル坑内の点群データ

Starlinkを経由して点群データをリアルタイム伝送する実験のイメージ

Starlinkを経由して点群データをリアルタイム伝送する実験のイメージ

ご存じの通り、点群データと言えば、大量で重いデータなので、インターネットで送るときも事前にデータを間引きして軽くしたり、圧縮したりしてからハードディスクで送ったり、長時間かけてクラウドサーバーに送ったりして共有するという流れが一般的です。

ところが、今回の実験では、四足歩行ロボットに搭載したLiDARが、毎秒最大24万点も計測した3D点群テータを、衛星回線経由でリアルタイムに送るという「夢のような話」を実現しました。

点群データの伝送にあたっては、KDDI総合研究所が開発し、小型の組み込みコンピューターで動作する「G-PCC」方式対応の点群圧縮技術や、データ伝送に必要な通信速度を約20Mbpsから約1Mbpsに削減する技術などが使われました。

この技術を施工管理に使うと、ロボットから送られてきた点群データを、遠隔地のオフィスで設計のBIMデータと比較して出来形管理を行ったり、配筋やコンクリート打設などの品質・進ちょく管理を行ったりすることができます。

また、点群データを集めて現場を再現した「デジタルツイン」による3D施工管理への活用も期待できます。

遠隔地での施工管理イメージ。左から360度画像、BIMデータ、3D点群データの比較。システムはOpenSpaceを活用

遠隔地での施工管理イメージ。左から360度画像、BIMデータ、3D点群データの比較。システムはOpenSpaceを活用

渡島トンネルの現場内では、携帯電話に4G回線を

 

ローカルLTE

 

として構築し、四足歩行ロボットやドローン(無人機)なども接続しました。

その結果、ドローンで計測した点群データも、同様にリアルタイム伝送が可能です。

トンネル現場に構築したローカルLTEネットワークのアンテナ

トンネル現場に構築したローカルLTEネットワークのアンテナ

ドローンがLiDARで計測した点群データもリアルタイム伝送が可能だ

ドローンがLiDARで計測した点群データもリアルタイム伝送が可能だ

Starlinkは、離島や人里離れた現場でのインターネット接続に使われ始めています。現場から点群データをリアルタイムに送ることで、遠隔地スタッフの力を借りながら、効率的なリモート施工管理も行えるようになりそうですね。

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