管理人のイエイリです。
高さ100mを超える超高層ビルの建設現場となると、あまりにも高いので携帯電話やインターネットなどの電波が届きにくくなり、通信に支障が出る場合があります。
そこで現場では施工の進ちょくとともに、地上のインターネット回線から上階へ有線LANケーブルや導波管など伸ばしてWi-Fi網を広げる作業が頻繁に発生することになります。
こうした現場Wi-Fi網構築での不便を解消するため、三井住友建設は新たな方法に挑戦し、見事成功しました。
衛星インターネット通信のアンテナを、
ナ、ナ、ナ、ナント、
タワークレーン
に取り付け、現場Wi-Fi網を構築したのです。(三井住友建設のプレスリリースはこちら)
衛星インターネット回線には、ソフトバンクの「Starlink Business」を活用しました。
人工衛星との間でデータを送受信するアンテナは、タワークレーンの 運転席屋根に取り付け、そこからPLC(電力線搬送技術)を経由して、下の現場に向けたWi-Fi用のアンテナと接続することによって、現場全体を「上から下へ」とカバーするようにWi-Fi網を構築したのです。
なぜ、StarlinkのアンテナとWi-Fi用のアンテナをわざわざPLCでつないだのかというと、タワークレーンが何度旋回しても、柱との間に設置してある電力専用スリップリングと呼ばれる回転コネクターによって、ケーブルのねじれを防げるからです。
タワークレーンとStarlink Businessを使った現場Wi-Fi構築手法は、三井住友建設が施工中の物件に導入され、その効果を確認しました。
例えば、躯体工事で最も通信ニーズが高い最上階で、常時、通信できるようになったことで情報共有や進ちょく管理がICT(情報通信技術)化され、
30%の省人化
と労務費の削減を実現しました。
このほか、ICT施工管理システムによるリアルタイムな施工データの更新・共有や、Wi-Fi網構築に必要だったLAN延伸工事費の削減ができました。
超高層ビルの最上階でも、スムーズにインターネット通信が行えるようになったことで、同社が2018年から開発している次世代プレキャスト生産管理システム「PATRAC」(2018年12月20日の当ブログ)も、いよいよ本領を発揮し、現場とプレキャスト工場間の物流最適化も実現しそうですね。