キヤノンがコンクリ変状検知AIをクラウド化! インフラ点検技術者が手軽に使える“子分”に
2024年11月29日

管理人のイエイリです。

キヤノンは、コンクリート構造物のひび割れやはく離などの変状点検作業を、高精細画像とAI(人工知能)によって効率的に行う「インスペクション EYE for インフラ」というサービスを、2019年12月に開始しました。

ユーザーのニーズにより、撮影、画像処理、変状検知のサービスを組み合わせて提供し、変状検知の結果を画像データやDXF形式のCADファイルで提供してきました。(2019年11月21日の当ブログ参照

「インスペクション EYE for インフラ」によるひび割れ検知結果のイメージ(以下の資料:キヤノン)

「インスペクション EYE for インフラ」によるひび割れ検知結果のイメージ(以下の資料:キヤノン)

同社は2024年11月20日、このサービスの肝となる「変状検知」の部分だけをユーザーが手軽に使えるようにクラウド化した「インスペクションEYE forインフラCloud Edition」のサービスを始めました。

インフラ点検技術者自身が撮影した構造物の写真をクラウドにアップするだけで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

AIが自動的にひび割れ

やエフロレッセンス(遊離石灰)、鉄筋露出、はく落、錆汁といった変状を検知し、画像やCADデータとしてダウンロードできるのです。(キヤノンのプレスリリースはこちら

「インスペクションEYE forインフラCloud Edition」の活用イメージ

「インスペクションEYE forインフラCloud Edition」の活用イメージ

「インスペクションEYE forインフラCloud Edition」の画面。ひび割れや鉄筋露出、はく落などの変状箇所が写真上にマーキングされている

「インスペクションEYE forインフラCloud Edition」の画面。ひび割れや鉄筋露出、はく落などの変状箇所が写真上にマーキングされている

AIによって検知できる変状の種類

AIによって検知できる変状の種類

編集機能によって、ひび割れを延長・連結した例

編集機能によって、ひび割れを延長・連結した例

ユーザーが行う作業は、コンクリート表面の撮影と、撮影写真を1枚にまとめる画像合成、そして傾きや台形になった画角を長方形に修正するあおり補正だけです。

この画像をアップロードする際に、CADデータ作成用に画像左上隅と右下隅の対角点座標も入力しておきます。

するとAIが変状を検知し、その結果をクラウド上で確認できます。誤検知や検知漏れがあった場合には、追加や延長、連結、幅補正といった修正を行う編集機能も付いています。

変状の確認や修正が終わったデータは、画像やDXF形式のCADデータとしてダウンロードし、あとはワープロなどで報告書にまとめるだけです。

現場の撮影から報告書作成までのワークフロー。最も手間ひまのかかる変状検知の部分を、AIが“子分”となって手伝ってくれるので楽だ

現場の撮影から報告書作成までのワークフロー。最も手間ひまのかかる変状検知の部分を、AIが“子分”となって手伝ってくれるので楽だ

料金体系は、AIで処理した画像の

“ギガピクセル”

に応じて払う仕組みになっています。

例えば10ギガピクセル(GP)分をあらかじめ購入しておき、2000万画素(0.02GP)の容量の画像を1枚AIで処理すると、その分の画素数が差し引かれるという仕組みです。検知する変状が1つ増えるごとに、画素数20%が追加で消費されます。

残GPが少なくなれば、追加GPを購入できますが、1年たつとGPは消滅します。気になるギガの価格は「オープン価格」となっていますので、キヤノンにお問い合わせください。

料金体系のイメージ。消費したギガピクセルによって払う従量制となっている

料金体系のイメージ。消費したギガピクセルによって払う従量制となっている

最近は、コンクリートダムの広大な表面などをドローン(無人機)で撮影し、真上から見下ろした「オルソ画像」を自分で作れるユーザーも増えてきたでしょう。

その画像をクラウドにアップするだけで、最も手間ひまがかかる変状検知の部分をAIがやってくれるので、技術者にとっては“子分”を持った気分になれそうですね。

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