iPadのLiDARではつり工事の設計、施工管理を効率化! 東京都港湾局がDataLabsの「Hatsuly」を実証
2024年11月5日

管理人のイエイリです。

年々、老朽化する社会インフラの維持管理で、コンクリート構造物の表面をブレーカーで削り取り、表面にコンクリートを再打設する「はつり補修」は欠かせません。

ただ、はつり補修工事を行う部分は小規模で数多く、形や深さも不定形なため、調査や設計、積算には大量の写真や図面が必要で、多くの時間と工数がかかっています。

はつり補修現場の計測例。深さや形状が不規則なため、再打設するコンクリートの体積計算などには大変な手間ひまがかかっている(以下の写真、資料:DataLabs)

はつり補修現場の計測例。深さや形状が不規則なため、再打設するコンクリートの体積計算などには大変な手間ひまがかかっている(以下の写真、資料:DataLabs)

このはつり補修の数量計算などを効率化するため、DataLabs(本社:東京都中央区)は、3Dインフラ補修検測システム「Hatsuly」を開発しました。

コンクリートをはつった部分を、

ナ、ナ、ナ、ナント、

iPadで点群計測

するだけで、補修部分の体積計算や図面作成が行えるのです。

コンクリートをはつった部分をiPadで点群計測する作業

コンクリートをはつった部分をiPadで点群計測する作業

例えば、下記のようにコンクリートをはつった部分の体積や図面を求めるときは、まず現場をiPad ProのLiDARで点群計測します。点群計測には、PIX4DcatchScaniverseなどのアプリを使います。

コンクリートをはつった部分をiPadで点群計測する

コンクリートをはつった部分をiPadで点群計測する

続いて、はつった部分の表面をiPadの画面上でトレースし、はつった底の部分に平面を設定します。底の部分はデコボコしているので、平面と合わすことは難しいですがアプリ側で最適な位置に調整してくれます。

はつった面の外形をiPad上でトレース

はつった面の外形をiPad上でトレース

はつった底に平面を設定するとアプリが位置を自動調整する

はつった底に平面を設定するとアプリが位置を自動調整する

その後は自動的に、はつった部分を埋めるのに必要なコンクリート体積が計算され、図面も作成されます。

はつった部分の体積を自動計算し、表示したところ

はつった部分の体積を自動計算し、表示したところ

自動作成されたはつり部分の図面。体積や各辺の長さなど積算根拠の数値も表示される

自動作成されたはつり部分の図面。体積や各辺の長さなど積算根拠の数値も表示される

このアプリに注目したのが、東京都港湾局です。

管理している施設には、建設年度が古く、CAD図面もないことが多いため、補修工事を行う際に現地測量や図面作成などの多くの作業と時間を要していました。

そこで東京都庁が抱える課題を、優れたスキルや技術を持つスタートアップとともに解決する「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」で、

補修工事の発注者

としてこのアプリを採択したのです。

「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」で「Hatsuly」が採択された協働テーマ

「現場対話型スタートアップ協働プロジェクト」で「Hatsuly」が採択された協働テーマ

iPhoneやiPadによる点群計測アプリはいろいろな種類がありますが、この「Hatsuly」ははつり補修工事のために、点群計測から体積計算、図面作成などを「オートメーション化」したものと言えます。

国土交通省の「i-Construction 2.0」が抱える「データ連携のオートメーション化」や「施工管理のオートメーション化」にも合ったアプリですね。

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