管理人のイエイリです。
港湾工事など海中での杭打ち作業は、陸上作業と違って海底が見えないので、杭打ち機のオペレーターは位置決めに苦労します。
そこで東洋建設は、オペレーターが現場の状況と海底の打設位置を“透視”しながら、杭の位置決めを行えるシステムを開発しました。
打設中の実物杭と設計杭の位置を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
実写版360度映像
の上で見ながら、所定の位置に打ち込めるのです。(東洋建設のプレスリリースはこちら)
このシステムは、実写映像を背景としたVR空間で杭の位置誘導が行える「Pile T-Real」というものです。同社が以前、開発した打設杭トータル施工管理システム「Pile-T」の追加機能として開発されました。
従来のPile-Tは、3台の自動追尾式トータルステーションで杭の位置を計測し、その位置をパソコン上のVR空間にリアルタイムで表示するものでした。
一方、今回開発したシステム「Pile T-Real」では、360度カメラで撮影した現場のリアルタイム映像を背景に、杭の3Dモデルや現在位置、移動すべき方向や距離などをAR(拡張現実)技術で重ねて見られるようにしたものです。
VR空間だけだと、3Dモデル化されていない作業員の退避状況や、海面付近に設置する定規材と杭の接触状況などわかりませんが、今回、実写版360度映像には現場にあるすべての
人やモノが見える
ので、オペレーターは安心・安全な作業が行えるというわけです。
そして、オペレーターが海中の杭位置や地層分布などを見たいときは、従来の「Pile-T」の画面に切り替えて確認することができます。
東洋建設では、これまでも埋め立て中の海底地形をリアルタイムに4D表示できる「TORe-4D」や、360度映像による「フライングビュー」とAI(人工知能)で現場を丸ごと監視するシステムなどの施工管理システムを開発してきました。
海洋工事は広大な海上や透視できない海中をITによって“見える化”する技術が、生産性向上や安全性向上の切り札になりそうです。