東急が鉄道施設の点検に四足歩行ロボ「Spot」を導入! 多様なセンサーでメーター読み取りやガス漏れ検査も
2025年2月27日

管理人のイエイリです。

Boston Dynamics製の四足歩行ロボット「Spot」は、段差や荒れ地を軽々と走破でき、様々な機器を取りつけられるため、建設業界では360度カメラや3Dスキャナーなどを搭載して施工管理や測量などへの活用が進んでいます。

この流れは、鉄道業界の施設管理業務にも広がりつつあります。

計測機器を搭載したSpotを連れて、鉄道施設点検を行う技術者たち(特記以外の写真、資料:東急)

計測機器を搭載したSpotを連れて、鉄道施設点検を行う技術者たち(特記以外の写真、資料:東急)

東急は現在、検査員が行っている電気設備や車両搭載機器の点検・検査業務に、

ナ、ナ、ナ、ナント、

Spotを恒常的に導入

し、業務の高度化や効率化に向けて技術検証を、2025年4月に開始することになったのです。(東急のプレスリリースはこちら

鉄道施設の点検・検査業務に使用する「Spot」。背中の中央には超音波カメラが搭載されている

鉄道施設の点検・検査業務に使用する「Spot」。背中の中央には超音波カメラが搭載されている

例えば、車両の床下に設置されている機器や部品の取り付け状況や摩耗状況は、これまで人間が中腰や狭いピットに入っての目視点検が中心でした。

その点、背の低いSpotなら車両の下に潜り込んで機器などを丸ごと撮影できるので、検査時間の短縮や肉体的負担の大きな作業を削減できます。

従来の人による車両床下機器などの点検や摩耗の検査

従来の人による車両床下機器などの点検や摩耗の検査

Spotなら車両の下に潜り込んで、機器の状態を丸ごと撮影し、映像による検査が可能になる

Spotなら車両の下に潜り込んで、機器の状態を丸ごと撮影し、映像による検査が可能になる

建設業界でのSpot活用は、映像の撮影や点群計測が中心ですが、東急では「超音波カメラ」(音響モニター)や赤外線カメラも使用し、幅広い検査に活用します。

超音波カメラは、数多くのマイクを備えており、現場の音の周波数や音圧レベルの分布を分析して、ガス漏れ箇所を特定することができます。


超音波カメラによるガス漏れ箇所の検査例(動画:Fluke Process InstrumentsのYouTubeチャンネルより)

また、変電所の点検では、電気設備のメーターの読み取りをSpotが撮影した画像から正しく読み取れるかを確認するほか、変圧器の温度上昇を確認する外観検査に赤外線カメラを導入し、より高い精度の検査を目指します。

変電所内の変圧器の外観(左)。赤外線カメラで見た変圧器のヒートマップ(右)

変電所内の変圧器の外観(左)。赤外線カメラで見た変圧器のヒートマップ(右)

将来的にはSpotによる点検対象の拡大や、

AI画像解析システム

の活用により、データの数値化や検査票への自動入力も目指します。

検証開始時期 検証場所 本ロボットの導入対象となる点検・検査業務
2025年4月以降 元住吉駅周辺の変電所 ・電気設備のメーターの読み取り業務
・端子などの取り付け状況の良否確認業務
・各設備の外観点検・検査
・ガス漏れ検査など
元住吉駅周辺の車庫 ・車両搭載機器の取り付け状況や消耗品の摩耗状況の点検・検査
・車庫線路内のレールボンドなどの各設備の外観点検・検査など
2026年度以降 技術検証エリアの拡大を検討 ・本ロボット導入対象業務の拡大を検討
・AI画像解析システムなどの活用による数値化および検査表への自動入力
・各種点検・検査業務で取得した画像やデータをシステムに蓄積し、データ活用・分析による保守業務の高度化
・グループ会社とロボットを活用した業務の高度化・効率化のノウハウを連携など
Spotを活用した鉄道施設点検業務の実施フローイメージ

Spotを活用した鉄道施設点検業務の実施フローイメージ

この取り組みには、Spotの販売代理店である東北エンタープライズ(本社:福島県いわき市)も協力しており、技術提供やトレーニングなどを行っています。

四足歩行ロボットの草分けであるSpotは、建設やインフラ関連企業のオートメーション化を担う「ベースマシン」としての地位を確立しつつあるようですね。

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