管理人のイエイリです。
土木・建築や防災の課題解決と、土砂の挙動を分析する土質工学は切っても切れない関係にあります。
一口に土砂と言っても、その内容は様々な種類、大きさの岩石が様々な割合で混じり合ったもので、その種類は無限です。しかし、これまでは土砂を「集合体」として扱ってきたので、細かい分析にも限度がありました。
この伝統的な土質工学を、根本から変える可能性がある画期的な技術を、東京大学の研究グループが開発しました。
土砂を構成する土粒子を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIで一粒ずつ識別
し、それぞれの形状と分布を解析する技術なのです。(東京大学のプレスリリースはこちら)
この技術は東京大学大学院工学系研究科の清水雄太特任研究員と宮本英昭教授らによる研究グループが開発したものです。
同グループは、AI(人工知能)の深層学習によって、大量の岩石を高速かつ高精度に自動識別するアルゴリズムを世界で初めて確立しました。
開発の目的は、小惑星の「リュウグウ」と「ベヌー」の写真から、岩石の状態を解明することでした。
このアルゴリズムを使って、両惑星の表面を撮影した高解像度画像約1万枚から、合計約20万個の岩石サイズや形状、位置の分布を解析することに成功したのです。
その時間は、手作業だと2週間かかるところ、わずか数秒で済みました。
研究グループは、この解析結果を利用して、小惑星の自転周期が遅いリュウグウは土砂が極方向に移動し、速い場合は赤道方向に移動することを突き止めました。
この技術は、岩石のスケールが小さい土砂の分析にも使えます。
例えば、斜面や土木現場などの土砂を、
ドローンや定点カメラ
で撮影し、今回、開発したアルゴリズムで解析することにより、粒径や粒度分布などをリアルタイムに計測できるのです。
また、岩石の種類や組成もわかるようになると、ミクロの土質力学として新たな発展も期待できそうですね。