管理人のイエイリです。
建築設計プロセスの中でも、基本設計は敷地条件や法規制、建築用途など、様々な条件を考慮しながら、白紙の状態から設計を始める必要があります。
設計条件の中には、対立するものもあるため、これらの折り合いをつけながら基本設計を行うには数日から数週間の設計時間がかかっていました。
ニュウジア(本社:東京都中央区)は、こうした労働集約的な建築設計業務の常識をAI(人工知能)の力で根底から変えるため「AI建築設計ドロー」という新製品を2025年5月7日に発売しました。
一見、おなじみの2D CADのような画面ですが、その作業内容は建物各部の図面を一つ一つ描いていくのとはわけが違います。敷地条件や法規制、建築用途などを加味した最適案を、
ナ、ナ、ナ、ナント、
AIが最短5分で自動作成
してくれるのです。(ニュウジアのプレスリリースはこちら)
こうした超高速な設計が可能なのは、生成AIが建築基準法や消防法、条例などの複雑な法規条件をリアルタイムにチェックし、事前に折り込みながら平面図や立面図、断面図を作るからです。そのため、ヒューマンエラーがなく、確認申請前の手戻りが激減します。
しかも提案内容は複数パターンから選択でき、人がゼロから考える時間を大幅に短縮できます。通風や車両動線、コストなど、多くの専門家による協議が必要なことも、AIが包括的に解析し、最適な建物配置を提案できます。
まるで多くの専門家がAIの中に入っていて、リアルタイムに設計を手伝ってくれる感じですね。
このほか、オフィスや商業施設などの設計では、容積率や建ぺい率、階数、高さ制限といった要素をAIが複合的に解析しながら、
敷地を最大限に活用
したプランも自動提案してくれるのです。
この「AI建築設計ドロー」は、中国などで既に広く導入されており、年間1000件以上のプロジェクトで利用されています。
大規模な都市開発プロジェクトの例では、従来8日間かかった設計案の提出が1日未満ででき、手戻り率は50%以上減少、法令違反はゼロ、設計コストは20~30%減少という成果が出ているとのことです。
ニュウジアでは今後、このシステムと構造・設備設計との連携や、RevitなどへのBIMデータエクスポート、VRとの連携によるプレゼン機能、中小建設業向けのライト版提供などの拡張も予定しています。
これまでの生成AIは、文章の作成などテキスト的な処理を自動化する効果に注目されてきましたが、これからは図面や設計、BIMなどの分野でもその知識力とスピードを発揮していきそうですね。