管理人のイエイリです。
北陸電気工事は、送電線の増強工事を行っています。鉄塔では、電線を支えるための「アーム」という金具をいくつかクレーンで撤去・追加し、電線を張り替える作業が必要になります。
ある鉄塔では8回線が集中し、1回線当たり3本の電線がいろいろな方向に伸びています。しかし、重要な送電線なので、一部の電線には数十万ボルトもの電気を流したまま、工事を行う必要があります。
ちょっとでも、クレーンのブームが超高圧電流が流れる電線に触れたらどうなるのか、想像するだけでも恐ろしいですね。
そこで同社は、電流が流れている電線や、じゃまになる電線をクリアしながらの工事に挑み、このほど、見事成功させることができました。
この“超精密クレーン作業”の施工計画や事前のシミュレーションには、
ナ、ナ、ナ、ナント、
点群データと3次元CAD
をフル活用したのです。
点群データの計測は、アジア航測が協力し、車載型の3Dレーザースキャナー「MMS(モービルマッピングシステム)」によって行いました。
新しく取り付ける支持金具や電線は、3次元CADでモデル化し、点群データと重ね合わせました。このモデル作成は外注せず、北陸電気工事の社員が自ら行いました。
こうした3Dモデルでの検討の結果、従来の平面図や縦断図では発見できなかった作業の問題点を早期発見し、改善することができました。
また、クレーンのオペレーターや鉄塔上で作業する作業員への説明でも、「注意すべき点がわかりやすい」と好評だったそうです。そして、実際の作業も予定より早く終わりました。
3Dモデル上での検討を、実際の工事に生かすためには、クレーンの位置もシミュレーション通りに配置する必要があります。
そこで、点群上でシミュレーションするときに、クレーンを安定させるために張り出す
アウトリガーと道路の白線
の位置もしっかり決めておいたのです。
「中央分離帯の端から3本目の白線の真ん中に、クレーン車右前のアウトリガーをセットする」という作業手順を決めておき、現場でも実行しました。
その結果、作業は3Dモデルのシミュレーション通りに行うことができたそうです。
点群データで現場をパソコンに取り込み、3Dで検討・シミュレーションを行って、現場にフィードバックする。このワークフローによって、難工事をスムーズに行うことが可能になったのには驚かされました。