管理人のイエイリです。
大都市で、地盤改良のための薬液注入工事を行うのは、とても勇気がいります。
というのは、地下には地下鉄やライフラインなどの構造物が交錯しており、薬注用のボーリング管がこれらを傷つけてしまう恐れがあるからです。
そこで五洋建設と伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は、地盤を3Dで見える化するツール「Gi-CIM」を開発しました。
地盤のCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)モデルを作るため、操作が難しい3次元CADを使う必要があるのかと思いきや、
ナ、ナ、ナ、ナント、
Excelデータから自動作成
してくれるのです。(五洋建設のプレスリリースはこちら)
表計算ソフト、Excelに改良体の名前や形状、位置、大きさや、注入開始日や注入量などの設計・施工情報を入力して「モデル化ボタン」をクリックするだけで、地盤のCIMモデルが作れます。
そのため専門のオペレーターや外注に頼ることなく、現場の施工管理スタッフで、日々の施工実績に基づいたCIMモデルが作れるのがメリットです。
五洋建設は、このシステムを「曲がり削孔式浸透夘固化処理工法」による総削孔長1681m、改良土量889mの工事に導入しました。
その結果、地上からは見えない地盤の様々な情報を、3Dでわかりやすく「見える化」することができました。
例えば、地盤改良体を施工日別にモデルを色分け表示することです。地下構造物への影響を少なくするためには、構造物の近くから遠くに離れるように、順次、薬注していく必要がありますが、その通り行われたのかを色分けで検証することが可能です。
また、それぞれの改良体の3Dモデルは、実際の薬注量に応じた大きさで表示できるので、地盤改良のすき間がないかも視覚的に確認できます。
このほか、ボーリング削孔ラインの設計と実績の誤差を把握して注入量を最適化したり、
削孔と構造物が干渉
する危険箇所を見える化して、工事関係者間で情報共有を行いました。
その結果、施工のトラブルを未然に回避する“フロントローディング施工”が可能になりました。
Gi-CIMはサンドコンパクションパイル(SCP)工法や静的圧入締め固め(CPG)工法、深層混合処理(CDM)工法など様々な地盤改良工法に使えます。
土の中の見える化は、土木技術者の悲願でした。Gi-CIMで地下が“透視”できるようになると、土木工事の生産性向上や品質向上に大きく貢献しそうですね。