管理人のイエイリです。
年々、厳しくなる建設業の人手不足対策として、様々な現場業務のテレワーク化が進みつつあります。現場への行き来という“移動のムダ”をなくし、その時間を生産に充てることで、生産性向上を高めようというわけですね。
工業化住宅「セキスイハイム」を展開する積水化学工業は、その最先端を行く企業の一つです。
住宅の床や壁、構造体などをユニット化し、工場で機械を使って生産するスタイルを、セキスイハイム誕生以来、50年間にわたって培ってきました。
その結果、鉄骨住宅を生産する同社7工場では、2022年度に構造体の生産工程の
ナ、ナ、ナ、ナント、
自動化率が85%
に達する見込みなのです。(積水化学工業のプレスリリースはこちら)
さらに今後も自動化設備を拡充し、2025年度は90%、2030年度には95%まで自動化率を高めることを目指しています。
例えば、同社の主力工場である東京事業所(埼玉県蓮田市)は、2021年5月にユニット構造体組立設備の大幅リニューアルを実施し、大型溶接ロボットを12台導入し、2系統あった生産ラインを1系統に再構築しました。
その結果、2022年4月には2020年に比べて生産性が15%向上し、1日当たり15人工(にんく)の工数を削減しました。
今後も部材供給のハンドリング技術の開発や、内装・外装や仕上げ工程での自動化拡大によって、2030年には2020年比で30%の生産性向上を行い、7工場全体で生産ラインの組立工程で約100人工の工数削減を目指します。
工場生産の品質管理で重要なのは、溶接強度の検査です。すでに2工場に溶接部の測定データから自動的に合否判定を行うシステムを導入しており、2022年度中には残りの5工場にも導入します。
このほか、画像処理技術を用いた検査の自動化や、デジタル技術を活用した品質管理手法も開発していきます。
工事現場での施工管理もテレワーク化が進んでいます。工事の進捗(ちょく)や仕様の確認を円滑に行えるモバイルチャットシステムや、事務所に戻らずに報告書を自動作成できるモバイルツールを導入しました。
その結果、“移動のムダ”、“指示待ちのムダ”を削減し、現場監督の工数を1棟あたり5時間以上も削減しました。
また、施工現場のウェブカメラ導入率は現在、65%になっており
2022年度には100%
の導入を計画しています。
さらに2025年には、各施工現場のデジタル情報を一括管理する「モニタリングシステム」を構築し、作業状況の監視や安全指示を遠隔化できる体制を確立します。
そして2030年にはプラン設計システムと、蓄積した現場映像データ、AI(人工知能)を連動し、最適な作業手順の事前指示や不安全行動の自動検知など、事故を未然に防止する安全管理システムを構築する予定です。
構造部材だけでなく、内外装や仕上げまでを含めて徹底した自動化を目指す積水化学工業の工場生産体制は、未来の建設業の姿を先取りしていると言えるでしょう。