管理人のイエイリです。
工事現場内の資材や重機の位置や稼働時間は、ICT(情報通信技術)の進化によって自動的に把握できるようになってきました。
一方、現場での作業員数や作業時間については、現場に調査員が張り付いて、ストップウォッチを片手に目視で作業員の数や時間を把握し、記録するというアナログな方法に頼っています。
これだと調査員の労力や負担も大変で、工事のごく一部しかデータを取ることができませんね。
そこで鹿島は、現場で働く作業員の人数と作業時間を
ナ、ナ、ナ、ナント、
クラウドカメラと画像AI
で自動把握できるシステムを開発したのです。(鹿島のプレスリリースはこちら)
このシステムは、現場に常設したクラウドカメラの映像を、鹿島が独自に開発した画像AI(人工知能)によって解析し、作業員の人数と作業時間を分単位で把握するものです。
カメラの死角になる場所には、別のカメラを複数配置して連携して作業エリア全体をカバーすることができます。
異なるカメラに同じ人物が写ったときには、独自の解析アルゴリズムで識別し、ダブルカウントを防止できるようになっています。
そして、もっとすごいのは、画像内で作業エリアを指定しておくと、人数と作業時間を自動集計し、作業員1人・時間当たりの施工量である
「歩掛り」を自動算出
できることなのです。
このシステムを橋梁の建設現場に導入したところ、指定した作業エリア内にいる作業員数と作業時間をリアルタイムで正確に把握できることが確認できました。
上のグラフは、橋梁の施工ブロックごとに歩掛りを算出し、施工ブロック順に並べたものです。作業が進むにつれて、習熟効果によって歩掛りが向上していることがうかがえます。
このシステムの良い点は、作業員に発信機などを持たせる必要がなく、市販のクラウドカメラをそのまま使えることです。
カメラ映像や画像解析結果は、社内のクラウドサーバー上に保存されるので、セキュリティーを確保しながら現場から離れた本社や支店で確認できます。
自社歩掛りを正確に把握することは、建設会社の永遠の夢と言っても過言ではありません。そのデータがあるからこそ、利益を確保しつつ、競争力のある見積もりや入札が行えるのです。
鹿島はこのシステムを橋梁以外の現場にも展開し、歩掛りデータを収集して生産性向上を目指す方針です。