管理人のイエイリです。
建設業が「キツい」と言われる要因の一つは、重厚長大な建物や構造物を構成する重い資材や工具を、人間が運ぶことにあるでしょう。
一方、建設業界では2024年4月から、時間外労働の上限規制が厳格化される「2024年問題」も控えており、作業の効率化と安全性の両立が求められています。
こうした背景の中、日本道路は、CuboRex(本社:東京都葛飾区)と共同で、建設現場の運搬作業を効率化するための実証実験を行いました。
その運搬手段とは、
ナ、ナ、ナ、ナント、
電動ねこ車
だったのです。(CuboRexのプレスリリースはこちら)

斜面で75kgのセメント袋を運搬する実験。人力による運搬はかなりの前傾姿勢で力を入れる必要があった(左)のに対し、電動ねこ車を使用した場合は直立姿勢のまま楽に運搬できた(右)(以下の写真、資料:CuboRex)
実験が行われたのは、茨城県土浦市にこのほど完成した、日本道路の複合施設「土浦テクノBASE」です。
実験に使用したのは、CuboRexが開発した一輪車電動化キット「E-cat kti2」を装着した一輪車(通称、ねこ車)です。
これに重さ75kgのセメント袋を載せて、勾配6.7%、長さ30mの斜路を運搬し、電動化前後での運搬時間を比較しました。
その結果、人力での運搬では回を重ねるごとに疲労が蓄積し、所要時間が長くなる傾向が見られたのに対し、電動ねこ車の場合は運搬時間が約30%短縮され、毎回、ほとんど同じ時間で運搬できるという
「定時性」も明らかに
なったのです。
実験の担当者は、75kgの荷物を載せていてもバランスがとりやすく、勾配のある道でもスムーズに走行できたと感想を述べました。
このほか、他の現場で電動ねこ車を使ったことのある8人の作業員にアンケート調査を行ったところ、100%の人が「疲労度が少ない」「作業効率の向上を感じた」「今後も使い続けたい」と回答しました。
CuboRexは2023年12月にも、東京電力パワーグリッドと共同で電動ねこ車による運搬実験を行っており、運搬時間は人力に比べて40%近く短縮できることが分かりました。(詳しくは、2024年2月1日の当ブログ記事を参照)
どの現場にもあるねこ車の電動化は、工事現場の生産性をじわじわと押し上げる効果を生みそうですね。