管理人のイエイリです。
ゼンリンと言えば、住宅地図などの地図情報を提供する、建設・不動産業界にとってはなくてはならない企業です。また、最近はCGを活用したカーナビゲーション・システム用に都市の3D地図データも制作・提供を行っています。
お堅いイメージのある同社ですが、このほど、思い切った新規顧客開拓戦略に踏み切りました。同社がもつ3D都市モデルのうち、東京・秋葉原駅周辺の625m四方を
ナ、ナ、ナ、ナント、
ゲーム業界用に無償公開
することになったのです。
3D都市モデルはホンモノの秋葉原の街そっくりです。例えば秋葉原の街をJR中央本線の高架橋付近から北側を見た画像と、グーグル・ストリートビューの写真を比べると、各ビルのファサードや色、そして看板に描かれた文字までがそっくりそのまま再現されているのがわかります。
このデータは、ユニティ・テクノロジーズが提供する3Dゲーム制作エンジン「Unity」用に提供されるものです。秋葉原の3D都市モデルデータは、Unityでゲームを開発するためのキャラクターモデルやテクスチャー、音楽などの素材を提供する「Unityアセットストア」で、2014年9月2日からダウンロードできます。
データの名前は「Japanese Otaku City」といい、ポケット・クリエーターズと共同制作したキャラクターや自動車などの動くオブジェクトのデータも同梱(どうこん)されています。
3D都市モデルを使ったゲームシーンのイメージ(動画:YouTubeより)
3D都市モデルデータは、ゼンリンがカーナビ用に制作した属性情報付きの3D地図データを「FBX形式」に変換したものです。属性情報は削除されていますが、建物や街並みの形やテクスチャーを3D空間用に利用できます。
ゲーム会社にとって、ゲームの背景となる都市の3Dモデル作りはかなりの負担になりますが、ゼンリンの精密な3D都市モデルを利用できると、ゲームの開発効率が高まり、ゲーム自体もよりリアルになりますね。
今回の無償提供は、ゲーム制作会社に対する“お試し提供”の意味合いがあります。ゼンリンは今後、
国内21都市、海外50都市以上
の3DモデルをFBX形式にして、ゲーム業界やシミュレーション関連企業に販売していく予定です。
ゼンリンの“ヲタク戦略”は、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)を導入している設計会社や建設会社にとっても大いに参考になりそうです。
建築物や土木構造物の3Dモデルをゲーム用に販売できると、本来の設計・施工だけでなく、プラスアルファの収入源にできるからです。日本が誇るゲームやアニメ業界と、建設業界のコラボにより、有望な新市場が立ち上がるかもしれませんね。