管理人のイエイリです。
茨城県内で鬼怒川が決壊した先日の大雨では、近隣の県でも低地の水を遊水池などにくみ上げる排水機場が浸水による漏電でストップし、浸水したエリアがありました。
どんどん排水機場内の水位が上昇してくるような非常時には、ベテラン職員がテキパキと指示を出して対策をとる必要がありますが、経験が浅い運転職員しかいない場合にはとっさの対処ができない場合があります。
こんな排水機場の危機を救うため、水資源機構琵琶湖開発総合管理所が管理する大同川排水機場(滋賀県東近江市)と米原排水機場(滋賀県米原市)に、
ナ、ナ、ナ、ナント、
カメラ付きHMDとAR技術
を用いたクラウド型機器保守・設備管理サービス「Doctor Cloud/巡回・点検支援システム」が導入されることになりました。
日立製作所が琵琶湖開発総合管理所から受注したもので、2016年3月に納入される予定です。
このシステムは、当ブログの2015年9月8日付けの記事でも紹介したように、目線カメラが搭載されたHMD(ヘッドマウントディスプレー)を点検員が装着し、その映像をクラウドシステムに送って遠隔地にいるベテラン技術者と共有しながら作業を行えるものです。
そして機器や設備の付近には「マーカー」が張り付けられており、これを目線カメラで読み込むと、AR(拡張現実感)技術を応用して、機器や設備に合わせた作業ナビゲーションがHMD上に映し出されます。
これまではマニュアルや図面、作業指示書の束をめくりながら作業していたのに比べて、必要な情報がすぐに目の前に表れるので、点検作業は非常に効率的になります。
琵琶湖開発総合管理所が管理する排水機場は琵琶湖一円に14カ所あり、台風などの大雨で琵琶湖の水位が上昇したときには水門を閉めて排水機場のポンプで河川水を強制的に琵琶湖に排水します。
急激な増水時などに経験の浅い職員しかいなくても、遠隔地のベテラン職員からポンプ起動の操作手順などの説明をHMD上で受けられるので、
確実・安全・迅速に対応措置
をとることができます。
台風などの大雨時には、川や湖などでつながったダムなどが互いに連携運転をして、洪水を防ぐことがあるようです。
こうしたシステムが治水施設に配備されると、現場の状況をリアルタイムに確認しながら、統括的な運転管理も行えそうですね。