管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用は、設計段階から施工段階へと徐々に広がってきています。
そんな中、BIMという言葉もなかった2003年度から、施工段階での3次元CAD活用に地道に取り組んできたのが清水建設千葉支店の生産総合センター情報化施工図グループです。
清水建設千葉支店生産総合センター情報化施工図グループのメンバー(写真:家入龍太) |
現在では、新築物件の100%で
施工図作成にBIM
を導入しているそうです。
この作業には福井コンピュータのJ-BIM施工図CADを中心に活用し、施工図のほかコンクリートや型枠の数量集計まで自動化しています。「ただ、自動集計とともに手拾いによる集計も行い、両者の結果をつき合わせて確認しています」と、清水建設千葉支店情報化施工図グループ長の室井一夫さんは説明します。
BIMで作成した躯体と設備のモデル(資料:清水建設千葉支店。以下、同じ) |
上記のBIMモデルと完全にリンクした2次元施工図 |
千葉支店では設計施工一貫の物件より、他社設計の物件の比率が高いので、施工段階での干渉チェックや施工性の確認は特に重要です。そこで、意匠、構造、設備をすべて描き込んだ「総合図」をBIMで作成。すべての工種の関係者でチェックしています。
BIMモデルですべての工種を“見える化”することで、工事関係者は自分の担当以外の部分もよく理解でき、施工上の不具合を「フロントローディング」によって事前に解決するのに効果を上げています。
また、敷地の周囲からアクセスしにくい現場では、敷地内でクレーン作業のほとんどを行うため、部材を一つ一つつり上げる作業をBIMシミュレーションしながら施工手順を計画することもあります。
大きなプロジェクトだけでなく、普通のビルや学校などの工事でも、日常的にさりげなくBIMを使って業務を進めているところがスゴイですね。
狭い敷地内に止めたクレーンでほとんどの施工を行うためのシミュレーション例 |
免震装置まわりの複雑な鉄筋、鉄骨などの施工手順や納まりをBIMによって検証した例(左)と現場(右) |
壁面に凹凸のある建物の枠組足場のかけ方もBIMでシミュレーション |
同支店ではJ-BIM施工図のほか、意匠設計ではRevit ArchitectureやArchiCAD、設備設計ではTf@sやRebro、施工シミュレーションにはNavisworksなど、おなじみのBIMソフトを使っています。
その中に、施工業務の効率化に大きく貢献している国産のソフトがありました。その名も
という鉄骨の詳細設計システムです。
開発元は片山ストラテックという鉄骨や橋梁のファブリケーターです。同社のものづくりのノウハウがフルに生かされており、3次元の鉄骨モデルから詳細図や工場製作用の原寸型板、数値制御(NC)用のデータ、帳票などを作成することができます。
KAPシステムのウェブサイト(資料:片山ストラテック) |
BIMのデータが施工に生かされるようになると、工場の製作現場で使われているソフトとBIMとの連携をどう図るかが設計者や施工者にとっても重要な課題になってきそうですね。
清水建設千葉支店のBIM活用を見て、今後、BIMが現場の最前線でも活用されていくのは時間の問題だと感じました。