直下型、連動型にも対応!迫る地震に「早期警報」で臨む東海道新幹線
2012年4月25日

管理人のイエイリです。

今年1月に公開された映画「ALWAYS三丁目の夕日'64」で、大きな舞台装置となった東海道新幹線が開通してから、再来年で早くも50周年を迎えます。

この間、様々な大地震が発生しましたが、大きな事故もなかったのは、遠くで発生した地震波の初期微動「P波」をいち早くキャッチし、走行中の新幹線車両に緊急停止指令を出す「東海道新幹線早期地震警報システム(通称:テラス)」によるところも大きかったでしょう。

2008年には気象庁の緊急地震速報もテラスと併用することで、安全対策を多重化するなど、改善が重ねられてきました。

JR東海今回、さらに改良を行い、直下型地震や東海・東南海・南海地震などの連動型地震など、近い将来に発生が予想されている様々な地震に対して「早期警報」体勢を強化することになりました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

直下型地震

 

が発生した時に、列車停止指令をさらに1~2秒縮めるというのです。

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現行の東海道新幹線早期地震警報システム(資料:JR東海。以下同じ)

まず、直下型地震に対しては現在はS波が40ガルに達したときに停止指令を出していますが、改良後はP波によって震度を推定する機能を加え、震度4程度を超えると推定された段階で停止指令を出すようにします。

これによって、直下型地震が発生してから列車停止開始までの時間が1~2秒短縮できるそうです。ここでポイントとなるのは、新幹線走行時の微振動と地震の初期微動を区別する技術の開発と、P波から震度を推定する機能の開発です。

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直下型地震に対する機能強化

また、東海・東南海・南海地震のように太平洋の南海トラフ沿いで発生が予想されている連動型地震に対しては、JR東海の地震計と緊急地震速報の地震計の観測データから連動型地震の発生を判断し、列車停止指令を出します。南海トラフ沿いの地震はマグニチュード7.0以上、東北沖の日本海溝沿いの地震は同7.5以上のとき、このシステムを作動させるそうです。

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テラスに使われる地震計は、太平洋の沖合を含めて東海道新幹線をぐるりと取り囲むように配置されている(左)。太平洋沿岸の地震計から連動型地震の発生を見越して列車を停止させる(右)

こうした技術開発が行われても、地震によって通信網の断絶や停電が起こった場合は機能しなくなる恐れがあります。そこで、バックアップの回線として

 

衛星電話を導入

 

して、信頼性を高めます。

また、地震計のバッテリー容量も現在の4時間から遠方地震計は72時間、沿線地震計は24時間に強化されます。これだけの体制がとられれば、直下型地震から連動型地震まで、東海道新幹線はタフに対応できそうですね。

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通信回線を使ったバックアップやバッテリーの強化策

改良工事の工事費は約3億6000万円、今年5月~来年7月まで行われ、工事完了個所から順次、使用を始めるそうです。

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改良工事の工程表

もう、これ以上の対策はありえないのでは、と思えるくらいの機能強化ですね。今後も「世界に誇る安全性」を、日本の新幹線の売り物にしていってほしいと願う次第です。

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