管理人のイエイリです。
ワシントンDCで本日(5/17、現地時間)、始まったアメリカ建築家協会(AIA)全米大会では、会場のコンベンションセンター地下にある広大な展示会場を使って展示会も開かれています。
AIA全米大会の広大な展示会場(写真:家入龍太。以下同じ) |
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)が珍しかった3~4年前は、BIMそのものを打ち出した展示が多くありましたが、最近はBIMがすっかり建築の世界に溶け込んでいるので
思わぬブースにBIM関連
の展示が転がっていることもあります。
そこで本日は展示会場全部を見て回る「ローラー作戦」を展開しました。もちろん、オートデスクやグラフィソフト、ベントレー・システムズ、ネメチェックなどの有力ソフトベンダーも出展していますが、今回は有力BIMベンダー以外の面白グッズをご紹介しましょう。
まず目に飛び込んできたのは、道路管制センターを思わせる三菱電機の巨大スクリーンです。4台のモニターを縦横に並べたものですが、モニター間のすき間が1mmほどしかありません。これだけすき間が小さいと、ほとんど気になりません。
4台のモニターを組み合わせて作った巨大スクリーン(左)と、1mmほどのすき間(右) |
展示会場を歩いていく中で、複数のブースにあったのが「SmartBIM」という表示でした。これはBIMパーツの中に環境解析などに必要なデータを埋め込み、建材設備のメーカーが提供する仕組みです。
SmartBIM対応のBIMパーツを使ってモデリングした建物のモデルを「ecoSCORE」というソフトで処理すると、LEEDなど建物の環境基準に沿ったレポートが自動的に作成されます。ある建材メーカーによると、SmartBIMのBIMパーツを提供することは、製品の採用率を高めることにつながると説明していました。
ecoSCOREの画面。建物の材料のなかでグリーンな製品が占める割合が一目でわかる(左)。個別のBIMパーツの仕様も詳しくわかる(右) |
ITとは少し離れますが、発泡スチロール製の打ち込み型枠も数社が展示していました。セパレーターとなる部材には溝が付けてあり、鉄筋を載せられるようになっています。コーナーの部分には「役もの」が用意されています。
もう、おわかりだと思いますが、この型枠は打設後も撤去する必要がなく
ナ、ナ、ナ、ナント、
そのまま断熱材になる
のです。コンクリート打設の型枠工事と断熱工事を1回で済ませてしまい、しかも型枠を撤去する手間がいらないというのは、合理的ですね。
発泡スチロール製の型枠(左)。セパレーター部分には鉄筋を載せることができる(右) |
このほか窓に様々なセンサーを取り付け、空調システムや情報システムなどと連携させる「スマートな窓」や、携帯電話で自動開閉できる窓、自由自在に曲げられる内装用の軽量鉄骨などがありました。
温度や湿度、太陽光などのセンサーが付いた「賢い窓」(左)。センサー部分には太陽光発電パネルが付いている(右) |
携帯電話(左)を使って開閉できる窓右)。ビルの自然換気を自動化するのに使えそうです |
内装用の自由自在に曲げられる軽量鉄骨(左)。関節部分の爪をハンマーでつぶすと形を固定できる(右) |
今回、いろいろなブースを回ってみて、製品のBIMパーツを提供している建材メーカーが非常に多いことに気づきました。自社製品をBIMの設計ワークフローに載せることが、製品の活用率を高めるための戦略と考えている企業が多いようです。
軽量鉄骨メーカーのブース(左)。BIMパーツを提供していることも積極的にアピール(右) |