GPSは忘れない!東日本大震災の津波高が見えるAR津波カメラ
2012年5月9日

管理人のイエイリです。

東日本大震災の巨大津波に襲われた海岸沿いの街では、建物などに残る水の跡などから、「あのときは、ここまで水位が上がった」というように被害の記憶が語り継がれます。

しかし、年月とともに被災した建物が建て替えられたりすると、どこまで水没したのかが分からなくなり、津波の記憶は遠ざかってしまいます。

こうした記憶の風化をITによって防ぎ、後生の人たちがいつでも、リアルに東日本大震災の津波を体感できるスマホ用のアプリが登場しました。

現場にスマホをかざして浸水深などを入力だけで、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

拡張現実感(AR)で津波を見る

 

ことができるものなのです。

このアプリは、東京都中央区のナブラ・ゼロが開発した「AR津波カメラ」というものです。津波を体感したい現場に行ってアプリを起動させ、(1)その場所の津波の浸水深、(2)自分の身長、(3)津波高を見たい場所(壁など)までの距離を入力します。

そして、目印になる場所に十字線を合わせてタップすることを2回行えば、現場の風景に重なってブルーの仮想津波が見えます。

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「AR津波カメラ」の使い方。身長などの入力(左)し、現場の目印に十字線を合わせてタップすることを2回繰り返す(中)と、現場に重なってブルーの仮想津波が見える(資料:ナブラ・ゼロ。以下同じ)

近い将来、発生が予想されている東海・東南海・南海地震では、これまで津波の被害とは縁が薄かった街でも、津波による浸水深がシミュレーションで求められています。

発表されている数値をもとに、よく出掛ける場所の津波を“仮想体験”し、イメージトレーニングしておくと、いざという時にも冷静に行動できそうです。

このアプリには「AR津波カメラ フィールドミュージアム」という姉妹アプリもあります。岩手県大船渡市と陸前高田市、宮城県気仙沼市に行ってこのアプリを起動すると、

 

GPSの位置情報から

 

東日本大震災の津波の浸水深を検索し、自動的に入力してくれる機能が付いています。

こうした機能があると、たとえ将来、建物が建て替えられたり、街並みの風景が変わったりしても、いつでも当時の津波を仮想的に体験できますね。

津波の浸水深データベースが実際と違っている場合には、ユーザーが報告して正しい深さに修正できる機能も備えています。

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「AR津波カメラ フィールドミュージアム」ではGPSによって現場の浸水深を自動入力してくれる(左)東日本大震災当時の津波の深さをARで表示(右)

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「AR津波カメラ フィールドミュージアム」でGPS機能が使えるエリア(赤色の部分)

GPSとARのコラボレーションによって、記憶の風化を防ぐという活用方法は、防災教育にとって大変優れた着想だと、感心した次第です。

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