国交省職員もいた!100年前の省エネ設計に復元中の米連邦調達庁ビル
2012年5月16日

管理人のイエイリです。

米国の連邦調達庁(GSA)と言えば、「3D-4D BIM計画」を推進し、米国でのBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)普及に大きな影響を及ぼした官庁です。

今年の初めに維持管理分野でのBIM活用の指針として発表した「BIMガイドライン第8巻(BIM Guide Series 08 – Facility Management)」について取材するため、本日、ワシントンD.CにあるGSAの本部に直撃してきました。

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ワシントンD.C.のGSAビル(写真:家入龍太。以下同じ)

そこで見たのは、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

建築当時への復元

 

を目指した改修工事でした。

GSAのビルが建設されたのは、約100年前の1917年だそうです。当時はもちろん、エアコンもなく、自然光や自然換気を生かした省エネ型のビルでした。

自然光を最大限に利用するため、窓際には高い窓が並び、太陽光を各部屋で利用できるようにするため建物全体の形も上から見ると「Eの字形」となっています。

また、廊下に面したドアの上には窓があり、天井付近を風が通り抜けることによって自然冷房や自然換気をうまく利用できるような設計になっていました。

ところが1970年代に行われた改修工事で廊下にはアーチ型の意匠が導入され、ドアの上の窓もふさがれてしまいました。また各部屋の天井板も低く取り付けられたため、せっかくの高い窓が一部、ふさがれてしまいました。

そこで、GSAでは廊下の天井を従来通り高くしたほか、各部屋の天井板も窓側に向かって上がるように勾配を付けて自然光をフルに利用できるようにしました。現在も工事は進んでいます。

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改修工事中のGSAビル(左)と1970年代に設置された廊下のアーチ型天井板(右)

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改修工事で高くなった廊下の天井。ドア上の通風窓も復活した(左)。執務室の内部。窓に向かって天井板に傾斜をつけて自然光をフルに利用できるように改修した(右)

肝心の取材の方ですが、GSAでBIMにかかわるチャールズ・マッタ(Charles Matta)さん、カルビン・カム(Calvin Kam)さん、ペギー・イー(Peggy Yee)さんなど、そうそうたるメンバーにインタビューさせていただきました。

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取材に応じていただいたGSAのBIM推進メンバー

その席には、思わぬ人が同席していました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

  

国土交通省の営繕部職員

 

である、大槻泰士さんだったのです。

国交省に入省以来、建築関係の基準に携わってきた大槻さんは、以前からBIMに関心を持っており、短期海外研修のテーマにBIMを選んで発注者サイドでのBIM活用に先進的に取り組んでいるGSAを研修先に選んだのだそうです。

すでにBIMガイドライン第8巻のポイントをまとめた記事を作成する際の原案を作成し、「Journal of Building Information Modeling」の2012年春号に大槻さんの名前入りの記事が掲載されるなどの実績も出しています。

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GSAで研修中の大槻泰士さん

国交省とGSAはこれまでも人事交流の実績あり、GSAからも国交省に研修に来た人がいます。トニー・ウォーラー(Tony Waller)さんもその一人で、2008年から2009年にかけて来日しました。

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2008年から2009年まで国交省で研修したトニー・ウォーラーさん。現在も日本語の勉強に余念がありません

GSAから大槻さんには、今後も日米間で連携してBIMの普及を推進していくために大きな期待が寄せられています。帰国後はぜひ、「国交省のBIMチャンピオン」としてGSAでの経験を生かせることを祈っています。

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