情報化施工が生きた!放射線量分布図を作る電動カートが登場
2012年8月22日

管理人のイエイリです。

福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質で汚染された土壌の除染作業が各地で行われています。これまでは10m~50m間隔で放射線量の分布を調べ、基準値を超える部分の土壌を削り取っていましたが、計測点の間隔が大きいため余分な削り取りを行うという無駄もありました。

そこで三井住友建設は、「放射線量平面分布計測システム」を開発しました。外観はゴルフ場などで使われる電動式カートに似ていますが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

放射線濃度の色分けマップ

 

をリアルタイムで作成することができるのです。

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千葉県の流山市総合運動公園で計測中のカート(左)と放射線量計測結果の例(右)。除染前の高さ50cmでの線量分布(写真・資料:三井住友建設。以下同じ)

この車両は平坦地用計測車と呼ばれ、電動式カートに放射線量検出器(NaI シンチュレーション・サーベイメーター)や高精度GPS受信機(水平精度±20mm)を搭載。1秒ごとに放射線量と位置情報をパソコンに取り込めるようになっています。

取得したデータをパソコンで処理することにより、画面上のCAD図面上に放射線濃度を色分け表示します。この計測車で公園などを走り回ると、放射線量の平面分布図が自動的に作られるという仕組みです。

放射線量の分布が細かく分かるので、表土の削り取り面積は最小限で済み、一度、削り取った後の放射線量もすぐに確認できるのでさらに削り取りを行う必要があるかどうかをその場で判断できます。1万m2程度の場所なら4~5時間で計測が可能です。

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平坦地用計測車に搭載されたシステム

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パソコン画面に表示された放射線量平面分布図の例

このシステムは、

 

情報化施工技術を除染に

 

生かしたものです。

振動ローラーなどでの締め固め作業で、盛り土上の各部分を何回ローラーが通過したかをGPSのデータを利用して色分け表示するシステムがあります。確かに、それに似ていますね。

三井住友建設のグループ会社であるSMCテックは今年6月に、このシステムを使って千葉県の流山市総合運動公園内のピクニック広場とアスレチック広場の放射線当量率計測を行いました。

地表から高さ5cm、50cm、100cmの3つの位置で空間放射線量を計測し、汚染濃度分布状況が現地で即座にできることを確認しました。また、このシステムは福島県が公募した平成24年度第1回福島県除染技術実証事業でも、7月19日付けで実地試験を実施する技術として選定され、今後、福島県内で試験を行います。

情報化施工技術や無人化施工技術が、原発事故の後処理に役立っていることは、建設業界としても大いにPRすべきでしょう。こうした地道な取り組みを積み重ねて、建設業界への評価をアップさせていきたいですね。

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