管理人のイエイリです。
建設業の労働災害で最も多いのが高所からの墜落事故、続いて建設機械や車両との接触事故となります。バックホーで掘削した土砂をダンプトラックに積み込む作業では、見張り員や、地山の掘削作業主任者などと建機、ダンプとの接触事故に特に気を付ける必要があります。
しかし、技術は進んでいます。9月20日、日立建機は海外の露天掘り鉱山業界のユーザーに対し、2017年までの5年間、ダンプトラックの自律運転に関する様々な技術を開発し、提供していくことになりました。
自律運転とは、車両に搭載した車体制御システムと管制システムを通信技術でつなぎ、
ナ、ナ、ナ、ナント、
運転手が乗っていない状態
でも、走行や荷の積み下ろしなど、鉱山現場で必要となる作業ができるようにするものなのです。
鉱山業界では、現場がどのような稼働条件であっても高い安全性と生産量、生産効率を得たいという要望がありました。その結果、運転手が乗った状態と同等の運行を可能とする技術開発に結び付いたとのことです。
ACドライブダンプトラックシステムを採用した車両(写真:日立建機) |
日立建機は、日立製作所の先進技術を取り入れた「ACドライブダンプトラックシステム」や、カナダの子会社であるウェンコ・インターナショナル・マイニング・システムズ社(Wenco International Mining Systems Ltd.)の鉱山運行管理システムなどをベースとして、今後、ソリューションを段階的に提供していく予定です。
ACドライブシステムとは、ディーゼル発電機で発電した交流(AC)電源を、
後輪のモーター
に供給して進むものです。エンジンの動力だけを使うよりも、効率が高くなるそうです。
今回のシステムは、運転席まで上がるために車両の前面に階段が付いているような巨大な鉱山用ダンプトラックを対象に開発されているものですが、この技術が普及するとバックホーで掘削した土砂をダンプに積み込んだり、現場で下ろしたりするときにダンプの運転手がいなくても作業ができるようになるかもしれません。
すると、人間が声や合図でダンプトラックの運転手と密な連係をとる必要がなくなるので、車両や建機との接触事故も大幅に減りそうですね。
日立建機は現場での自律運転の稼働試験を2013年から開始する予定です。