波高20mでも大丈夫!清水建設が2400人収容の津波避難ビルを開発
2012年10月30日

管理人のイエイリです。

東日本大震災では巨大な津波が内陸部まで押し寄せ、大きな被害が発生しました。この教訓から、沿岸部の既成市街地や商工業地域では、津波避難ビルの必要性が強く認識されました。

清水建設は10月25日、耐震性や耐波性に優れた津波避難ビル「アーチ・シェルター」を発表しました。免震構造の建物「インナービル」と、建物を取り囲む外郭となる「アーチウォール」のハイブリッド構造となっており、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

震度7の揺れ、20mの津波高

 

に耐えるタフな建物なのです。

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アーチ・シェルターのイメージ(資料:清水建設。以下同じ)

建物を取り囲む「アーチウォール」は楕円の筒状の構造になっており、津波の外力を受け流すことができます。楕円の短辺方向を海の方向に向けると、その効果は一層高まります。まるで船のへさきが波をかき分けるように、津波に抵抗する姿が想像できますね。

清水建設では、アーチウォールが波高20mの津波外力に耐えられることを3次元流体解析や構造解析のほか、水理模型実験でも確認しました。

アーチウォールの外周に設けた全周バルコニーは、構造体の剛性や耐力を高めるタガの役目をしており、漂流物が衝突しても建物本体を守ることができます。低層部は中空になったピロティ構造で、津波を通過させ流水圧を軽減します。

バルコニーには外部階段が4カ所設けてあり、周辺地域から避難してきた人は階段から高層階に避難でき、高層部のバルコニーは避難スペースとして使えます。基本プランの規模は、楕円の長手方向径51.8m、短手方向径35.8m、高さ34.6m、バルコニー幅3m、ピロティは間口27.9m、高さ6.0mとなっています。

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耐波・免震のハイブリッド構造

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避難階段は9カ所に設けられている

また、アーチウォールの内部空間には、2体の隔壁を設けて隔壁とアーチウォール、底盤で区画した空間を設け、その中にインナービルを建設します。インナービルは間口約25m、奥行き約27mの6層で、ピロティ上部には免震装置を設けます。

アーチウォールとは底盤、隔壁で完全に独立に区画されているので津波が浸水することはないとのことですが、万一、浸水したときもビル中央部の吹き抜け空間に設ける階段で屋上に避難できます。

アーチ・シェルターには、インナービルの各階に約300人、屋上に約300人、アーチウォールの6階以上のバルコニー部に約300人で、

 

合計約2400人

 

を収容できるとのことです。

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架空の街にアーチ・シェルターを建設したイメージ

工事費は同規模の一般的なビルに比べて約1.5~2倍を見込んでいますが、大震災でも事業が継続でき、その後は避難所、復旧拠点、そして再度事務所として機能し続けることができるため、投資効果は高そうです。

用途としては防災拠点となる事務所のほか医療施設や公共施設などを想定しています。津波避難ビルの現実的に提案として、アーチ・シェルターを大いに参考になりそうですね。

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