建物の電波性能をアップ!東急建設が作った日本初の電波暗室
2012年11月26日

管理人のイエイリです。

スマートフォンや無線LAN通信などの無線データ通信ニーズが高まるにつれて、通信速度の低下や電波の混信などの問題がクローズアップされてきました。

また、原因不明のエレベーターや医療機器の誤動作事故が起こっているように、精密化した電子機器が電磁波ノイズに対して弱くなっていることへのリスクも高まっています。

こうした問題は機器だけでは解決できず、電磁波環境を建物によって制御することが求められてきました。

そこで東急建設は、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

重量建築部材の電波特性

 

を実験できる電磁環境EMC試験室(電波暗室)をこのほど完成させたのです。

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電波暗室の平面図(写真・資料:東急建設。以下同じ)

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電波暗室の内部に備えられたアンテナ
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試料取り付け用の開口部(左)と測定室の内部(右)

2つの電波暗室を仕切る壁の開口部には、電波特性を調べる試料が取り付けられるようになっています。

一方の電波暗室から電磁波を送信し、他方の暗室で受信することで、開口に取り付けた建材などの電磁波の通りやすさなどを調べます。

試料取り付け部は、鉄筋コンクリート壁などの重量部材も設置できる耐荷重性能があり、質量約0.5t以内、縦1.8m×横1.8m までの試料を取り付けられます。

そのため、これまでは困難だった鉄筋コンクリート壁など多種・多形状の部材が複合して構成された建築部材の電波特性も調べられます。

こうした重量建築部材の電磁波特性実験ができる施設は、

  

国内初

 

とのことです。

この施設は、「電波を通すところは通す」「通さないところは通さない」といった建築物を作るために必要な「電磁環境対策技術」の開発に、大いに威力を発揮しそうですね。

鉄筋コンクリートなどの電磁波特性が明らかになると、そのうち、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)でも、壁や床などに電波透過率などのデータを入れて、電波解析をする時代になるかもしれませんね。

【施設概要】
<各室共通性能>
シールド特性 IEEE STD-299(MIL STD-285)準拠
磁 界 150kHz~30MHz: 70dB 以上
電 界 150kHz~30MHz:100dB 以上
平面波 30MHz~6GHz :100dB 以上
6GHz~18GHz: 80dB 以上

<3m 法電波暗室>
シールド内寸 W6.2×L9.6×H5.35m
ターンテーブル 直径1.5m 回転速度0.5-3.0rpm
条件付最大搭載荷重500kg
アンテナマスト 昇降高1.0~4.0m 耐荷重10kg
扉寸法 W1.5×H2.0m
・ANSI C63.4-2003(IEEE C.63.4)正規化サイトアッテネー
ション(NSA)30MHz~1GHz 基準値との偏差:±3.0dB 以内
・CISPR16-1-4:SiteVSWR 1GHz~18GHz(50MHzStep 以下)
Site VSWR 偏差:6dB 以内

<小型電波暗室>
シールド内寸 W4.0×L8.0×H3.0m
扉寸法 W2.0×H2.0m

<測定室>
シールド内寸 W3.5×L3.6×H3.0m
扉寸法1 W1.0×H2.0m
扉寸法2 W0.8×H2.0m

<重量物試料取付開口>
取付可能試料 最大重量 500kg
最大寸法 縦1.8m×横1.8m

 

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