管理人のイエイリです。
BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)とともに、建築設計の分野で深く、静かに流行しつつあるのがアルゴリズミックデザインです。
形状や部材の配置などのルールをコンピューターにプログラムして、立体の形状やデザイン要素の配置、大きさを自動的に出力するデザイン手法です。
その画期的なデザイン手法のヘビーユーザーに、
ナ、ナ、ナ、ナント、あの有名な
があるのです。
先日、同事務所で3次元CG担当としてチームを率いている斎藤浩章さんに、アルゴリズミックデザインをどのように使っているのかを直撃インタビューしてきました。
隈研吾建築都市設計事務所で3次元CG担当を務める斎藤浩章さん(写真:家入龍太) |
斎藤さんは2007年に同事務所に入所して以来、ライノセラス(Rhinoceros)やグラスホッパー(Grasshopper)などを使って、様々なコンペや設計業務でアルゴリズミックデザインを活用してきました。
例えば、玉川高島屋S・C本館ファサード改修工事や、英国スコットランドに建設されるデザインセンター「V&A at Dundee」、スターバックス太宰府天満宮店、イタリアのスサ渓谷に建設される新駅舎、そして最近では東京大学大学院情報学環 学術研究棟などのプロジェクトです。
ライノセラスやグラスホッパーというと、一般の設計者にはどうしても敷居が高く感じられるものです。ところが、隈研吾建築都市設計事務所では自らこれらのソフトをマスターする気になった設計者がたくさんいるそうです。
その秘けつは何かというと、
プログラムと設計の分業
にあるのだそうです。
例えば、前出のV&A at Dundeeのプロジェクトの場合、建物の外形は「上下に多角形を配置して、ねじりを加える」とか、「ルーバーの厚さ・幅・間隔を変える」などといったデザイン上の要素を、斎藤さんが設計者から聞き出してグラスホッパーのプログラミングを行います。
そのプログラムには、ねじり角やルーバーの間隔などを「スライダー」というつまみのついた部品で調整できるようになっており、設計者は自分の満足がいくデザインができるまで、いろいろなスライダーを自ら調整して、最も美しいデザインに練り上げていきます。
V&A at Dundeeのデザインを行った時のグラスホッパーのプログラム。設計者はスライダーなどを満足いくまで調整し、最も美しいデザインに練り上げた(資料:隈研吾建築都市設計事務所) |
こうすることにより、アルゴリズミックデザインに詳しくない設計者も、自分でグラスホッパーを使うことができます。そしてアルゴリズミックデザインに興味を持った設計者は、自分自身でソフトの勉強を始めるようになるそうです。
この分業作戦は、アルゴリズミックデザインの普及に大きな力を発揮しそうですね。あなたの会社でもやってみてはいかがでしょうか。詳しくは、来週の日経BP社のウェブサイト、「ケンプラッツ」のイエイリ建設IT戦略のコーナーでご紹介しますので、お楽しみに!