iPad持って環境パトロール!鹿島が開発した「いきものNote」の機動力
2013年2月27日

管理人のイエイリです。

建設工事では、現場周辺の動植物や自然環境の保全対策がますます重要になっています。

特に、ダムや造成といった大規模土木工事では、工事の進行とともに地形などの状況が変わるので、継続的に動植物のモニタリングを行い、対策を行う必要があります。

そこで、鹿島は現場周辺で発見した動植物の種類や位置、時刻などを正確かつ簡単に記録できる植物・環境モニタリングシステム「いきものNote」を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

iPadとクラウドサーバー

 

を組み合わせたシステムなのです。

現場周辺のパトロールにiPadを持って行き、動物や植物を発見したら内蔵カメラで写真を撮ります。すると写真には撮影時刻とGPSで取得した緯度経度の位置データが自動的にひもづけられ、クラウドサーバーに送られるという仕組みです。

写真には現場でメモを添付することができます。これまでのように、写真を撮影した場所や時刻を地図に記入して、後で整理するといった面倒な作業は必要ありません。

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調査前のiPad画面は地図が表示されているだけ(左)。調査終了後は移動した経路情報(右、青い三角印)と写真などの調査データを入力した位置(右、緑色の丸印)が記録されている(資料・写真:鹿島。以下同じ)

クラウドサーバーに蓄積したデータは、地図や図面、航空写真、動植物保全マップなどと重ね合わせて、iPadや現場事務所のパソコンで見ることができます。

調査開始から終了までの間、一定時間ごとにiPadの位置を記録するので、調査を行った時間と場所の軌跡も記録として残せます。また、必要に応じて報告書などに使う帳票も作成できます。

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地図上の緑色の丸印をタップすると入力した調査データが表示される(左)。調査データを拡大表示したところ(右)

このシステムは、(1)•動植物・環境データの入力に使用するiPad、(2)収集したデータをクラウドサーバーに伝送し、わかりやすく表示する専用アプリ、(3)各種データを蓄積し、変換処理を行うクラウドサーバーの3つで構成されます。

これまでもGPSの位置データを使って、現場から情報を入力できるシステムはありましたが、背景となる地図データが重く、扱うのに限界がありました。

また、一般のGIS(地理情報システム)は、操作方法をマスターするのに時間がかかるという問題がありました。

その点、今回、鹿島が開発したシステムは地図がサクサク動き、操作も簡単でGISのように正確なデータを記録できるという3拍子そろった機動性を持っています。

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iPadを活用した動植物・環境モニタリングシステム概念図

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動植物・環境モニタリングシステム「いきものNote」の構成

このシステムは、同社が福岡県筑紫郡で施工中の

 

福岡県五ヶ山ダム

 

の堤体建設工事の現場で環境パトロールに毎日使われており、ビオトープなどの整備効果を検証できたり、サシバなどの小型猛きん類に対する配慮を行えたりという実績を残しています。

このシステムは、2月5日に国土交通省が公表した「今後の河川管理のあり方(中間とりまとめ)」にある「河川台帳などをデータベース化し、ICTを使って現場からデータ入力できるようにすること」という方針にも沿っていますね。

自然環境保護はもちろんのこと、河川や道路などの維持管理業務など、幅広い業務で活用できそうです。

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