管理人のイエイリです。
製造業や医療の分野から使われ始めた3Dプリンターは、いまや建築設計事務所や建設会社でも活用されています。
そして3Dプリンターで作るものもだんだん大きくなってきました。1月31日、英国の建築設計事務所、フォスター・アンド・パートナーズ(Foster + Partners)は、
ナ、ナ、ナ、ナント、
月面基地を3Dプリンター車
で施工する構想に参加していることを発表したのです。
この構想は、アリアンロケットの開発などで知られる欧州宇宙機関(European Space Agency:ESA)が検討しているものです。今回、発表されたのは、月面に4人用の基地を建設する計画です。
月面基地のイメージ(資料:ESA/Foster + Partners) |
基地はドーム型の建物をいくつか組み合わせた形になっています。ドームの内側には地球から運んだ円筒形の部材があり、それを中心に膨張式のドームを設置します。これらの部材は折りたたんで、地球から月面までロケットで簡単に運べるようになっています。
ここからが3Dプリンター車の出番です。ドームをガンマ線や隕石(いんせき)から守るための分厚いカバーを施工していくのです。材料には月面を覆っている「レゴリス」という砂を使い、内部に小さな空洞を作りながらカバーを施工するのです。
カバーに空洞を作ることで、レゴリスの結合材となる“構造インク”の使用量を最小限にするとともに、強さと重量を最適にすることができます。
3Dプリンター車で膨張式ドームの表面を覆う作業のイメージ(資料:ESA/Foster + Partners) |
完成した月面基地のイメージ(資料:ESA/Foster + Partners) |
驚くべきことに、ESAはイタリア・ピサにある6m角の巨大3Dプリンター「D-SHAPE」を使って、モックアップまで作っていまるのです。月面の環境を再現するため、真空中で重さ1.5tの空洞入りカバーを造形したそうです。
重さ1.5tのモックアップ(写真:ESA) |
モックアップの造形に使用した巨大3Dプリンター「D-SHAPE」(写真:Monolite) |
実は、私は2011年7月に、この
巨大3Dプリンターを見てきた
ことがあります。
当時、この工場では2台の「D-SHAPE」がフル稼働して、欧州各国から寄せられる彫刻造形の注文をこなしていました。
地球上の建物を造形するためには、やや強度が足りないということでしたが、月面基地には使えるレベルになっているのかもしれませんね。今後の建設業に変革をもたらすかもしれない巨大3Dプリンターの技術革新に期待したいです。
巨大3Dプリンター「D-SHAPE」(左)と防じん壁で囲まれたオペレーター室(右)(4点の写真:家入龍太) |
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造形した彫刻の例(左)。D-SHAPE開発者のエンリコ・ディニ氏(右写真左側)と兄のリカルド・ディニ氏(右写真右側) |