ZEB実現に一歩前進!鹿島技研の研究棟がCO2排出量を62%削減
2013年5月24日

管理人のイエイリです。

経済産業省では2030年以降の新築オフィスビルのネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)化を目指しています。そこで鹿島は、それを10年前倒しし、2020年に自社設計施工の新築ビルでZEB第1号を実現するという独自の目標を掲げ、研究開発を進めています。

2011年11月に使用を始めた東京都調布市にある同社技術研究所の本館研究棟(延べ床面積:8914m2、地上5階、地下1階)は、パッシブデザインを基本とし、様々な省エネの工夫が施されています。

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鹿島技術研究所の本館研究棟(写真・資料:鹿島。以下同じ)

このほど、2012年度の省エネについての“運用成績”が明らかになりました。東京都の一般事務所ビルに比べて、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

CO2排出量の62%削減

 

を達成したのです。設計時の試算では50%削減でしたが、実際はさらに12ポイントも削減を上乗せしたことになります。

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2012年度のCO2排出量削減実績

これまでのオフィスビルは、高い階高に大きな開口部を有するデザインに、ルーバーなどの日射遮へい装置を取り付ける手法が一般的でしたが、鹿島は逆の発想で意匠、構造、設備を機能的に統合し、建物の形状そのものを環境負荷の少ない形状にデザインしました。

例えばスラブを建物の南側に1150mm突き出すようにし、ひさしとして利用するほか、朝日や西日が差し込む東西面には一切、開口のない耐震壁としました。さらに屋上には全面緑化を施すことにより、年間熱負荷係数(PAL値)を193としました。これはオフィス基準値を35%以上下回る値です。

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スラブを南側に突き出してひさしとして利用し、PAL値を削減した

空調機はアンビエント・タスク方式を採用し、個別方式の床置き室内機をスパンごとに窓際と内部に設置しています。

オフィス内装は天井レス、OAフロアレスとすることで、内装材を極力少なくしました。天井の吸音性能を高めるために、木毛セメント板をスパンの境界部分(FL+3000mm)に設置して、隣接するグループ間の音声伝搬を吸収するようにしました。

また、OAフロアを使わない代わりに、グループ境界の家具の下部に配線スペースを設け、個人ブースまでの電源やLANの配線に使っています。

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空調システム概念図

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意匠と設備を統合したオフィス内装
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既存躯体の再利用や太陽光発電、自然換気などでZEB化を追求している

鹿島は今回の実証結果から、

 

国内トップレベルの省エネ

 

効果を確認できたとし、低炭素社会に向けてさらに技術開発を進めていくそうです。

住宅分野では、ゼロ・エネルギー・ハウスが出てきていますが、オフィスビルがZEB化されると、エネルギー問題は解決に向けて大きく前進します。化石燃料の枯渇対策でも、建設業界が大きな力を発揮することになりそうですね。

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