管理人のイエイリです。
意匠設計用のBIMソフト「Vectorworks」は長年、多くのユーザーに親しまれており、同ソフトを販売するエーアンドエーは、今年で創業30周年を迎えます。
今週末の6月20日には、東京で「30周年記念講演会」を開催し、建築家の團紀彦氏、照明デザイナーの 面出薫氏、インテリアデザイナーの橋本夕紀夫氏という超豪華メンバーが講演します。
そんな矢先に、驚くべきニュースが飛び込んできました。エーアンドエーが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
キヤノンの傘下に入る
ことが決定したのです。
6月12日、キヤノンマーケティングジャパンのグループ企業であるキヤノンITソリューションズ(以下、キヤノンITS)が、エーアンドエーの全株式を取得する株式譲渡契約を、エーアンドエーの株主と締結したというのです。
株式譲渡は6月30日に予定されており、エーアンドエーの新社長には、キヤノングループ出身で現在、副社長を務める川瀨英一氏が就任する予定です。現社長の内田和子氏や現会長の新庄宗昭氏、取締役の大河内勝司氏は退任します。
<就任予定の新取締役>
代表取締役社長 川瀬 英一
取締役 横田 貴史
取締役 宮野 佳郎
取締役 楢林 知樹
取締役 吉川 茂
(敬称略)
キヤノンITSは、機械系の3次元CAD「SolidWorks」や、米国3Dシステムズ社の3Dプリンター、VR(バーチャルリアリティー)からAR(拡張現実感)までをカバーするMR(ミクスドリアリティー)など、このところ3Dソリューションの展開に力を入れています(詳しくは、2014年4月14日付けの当ブログ記事で)。
このラインアップにVectorworksが加わったことで、BIMからVR、ARによるプレゼン、さらに3Dプリンターによる模型作成まで、建築分野におけるキヤノンITSの存在感はぐっと高まったのではないでしょうか。
また、エーアンドエーにとっても、キヤノンITSのハード、ソフトと連携した製品開発や強力な販売網を活用できることは、創業30周年以降の事業基盤を固めるうえで、大きなメリットになりそうです。
キヤノンITSとエーアンドエーがつながった理由は定かではありませんが、両社のCADソフトには共通点があります。
それはSolidWorksも、Vectorworksも、
Parasolid
というモデリングエンジンを採用していることなのです。
これまでは、機械系のCADと建築系のCADの間では、データ交換が難しい面が多々あり、現場の技術者は苦労することが多くありました。
今回の買収劇で、キヤノンITSとエーアンドエーは、「機械系と建築系のスムーズなデータ互換」を新たな武器として手に入れることができるかもしれませんね。今後の展開が楽しみです。