管理人のイエイリです。
駅改札内の「エキナカ」や、オフィスやホテル、劇場や店舗が複合した高層ビルなど、都心部では多くの人々が集まる施設が増えています。
また、集まるお客さんの中には老人や障害者、幼児など、災害時に支援を要する人も増えています。
このような施設を設計するとき、テロや放火などによる大規模な火災が起こったときに、スムーズに避難できるように配慮しておくことは、大変重要です。
そこで鹿島は、火災時の避難状況を精密に予測できる「人・熱・煙連成避難シミュレータ PSTARS」を開発しました。
「人・熱・煙連成」という名の通り、
ナ、ナ、ナ、ナント、
熱や煙を避けて逃げる
という人の動きを再現できるのが特徴です。
鹿島はこれまで、歩行者を単なる“流体”ではなく、ひとりひとりを「意思や性格を持つ人間」として扱いながら、動きや相互作用を再現できる歩行シミュレーションシステム「Sim-Walker」などを開発してきました。
平常時は建物内の通路の幅や出口の大きさなど建物自体の構造が人の動きの制約になりますが、火災時には炎や熱、煙の広がりも制約条件に加わります。
そこで、このシステムでは米国立技術研究所(NIST)が開発した火災シミュレーター「FDS(Fire Dynamics Simulator)」で火災の燃え広がりを時々刻々と計算し、その結果を避難シミュレーターと連携させました。
その結果、「熱や煙を避けたり引き返したりする」「煙の濃度によって避難速度が低下する」「放射熱や煙が限界値を出口は使わない」といった避難行動を再現できるようになったのです。
また、実際の火災では、火災警報が鳴ったからといってすぐには動かず、人が騒いだり、逃げたりするのを見てから避難し始める人も多く、人によって避難の開始時間が異なります。
人がある出口に集中していると、逆方向のすいている出口を目指して逃げる人もいます。また、老人や障害者など運動能力や判断力が低下している人は避難に時間がかかります。
このシミュレーターではこうした個人差も考慮できるようになっています。
シミュレーション結果も、平面図上に示しただけだと、図面が読めない人には結果の切実感が伝わってきません。
そこで、このシステムでは人や火災の動きを
3Dアニメーション
で見せることもできるようになってます。
すると、発注者やプロジェクト関係者にも、火災時の避難がよりリアルな問題として認識されるようになり、シミュレーションの説得力も出てきますね。