管理人のイエイリです。
最近、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)ソフトで竣工時の3Dモデルを作成し、後々の維持管理に生かそうという動きが出始めています。
竣工時のBIMモデルがあれば、壁や天井の裏に隠れている配管やダクト、構造材などの位置がわかり、リニューアル工事を行うときに重宝します。
しかし、まだまだBIMの導入は難しいという工務店や中小の建設会社も多いでしょう。そんな会社でも手軽に施工中の出来形を記録し、後で活用できるのが、イオグランツ(大阪市中央区)が発売した「EOPAN(イオパン)」というiPad/iPhone用システムです。
上下周囲360度を撮影できる「全天球カメラ」で撮影した施工時の写真を使い、工事完了後でも
ナ、ナ、ナ、ナント、
iPadで壁裏を“透視”
するように構造材や配管などの位置を見ることができるのです。
室内でiPadをかざしていろいろな方向に向けると、内装材を張る前の現場写真がiPadの画面に現れます。 異なる施工段階の写真を画面の左右に表示することも可能です。
さらにスゴいのは、全天球写真に写っている構造部材や機器などには、BIMモデルのように属性情報やリンクを埋め込めることです。
例えば写真上の赤い丸をタップすると属性情報の画面が開き、その機器などの耐用年数やメーカー名、緊急連絡先などを確認できます。
また、青い丸はタップするとその部材に関するウェブサイトに飛んでいき、詳しい情報が見られます。iPadやiPhoneで「EOPAN」の写真などを見るアプリは500円、全天球写真や属性情報などを編集してデータにまとめるソフトは48万6000円です。
なお、EOPANの開発は、インフォマティクス(神奈川県川崎市)が担当しました。
そして、この「EOPAN」は、2014年度グッドデザイン賞の特別賞である
未来づくりデザイン賞
も受賞しました。
数万円で買える全天球カメラの写真を使うこのシステムならシャッター1回で現場をぐるりと記録し、AR(拡張現実感)のように使うことができます。
維持管理やリフォームを新たなビジネスチャンスと考えている工務店や建築設計事務所の方は、検討してみてはいかがでしょうか。