27台のアクセスポイントが3台に!鹿島とフジクラが無線LANの新技術を開発
2015年6月30日

管理人のイエイリです。

オフィスビルやホテルだけでなく、いまやすべての建物でWi-Fi(無線LAN)は欠かすことができない設備になってきました。

ところがWi-Fiの電波は、鉄筋コンクリートや金属製のデッキプレートを使った建物の床を貫通することができないので、これまでは各階や各部屋にWi-Fiのアクセスポイント(AP)を数多く設置する必要がありました。

電気代や機器の保守点検・更新のコストは、建物のライフサイクル全体にわたって相当、かさんできそうですね。

そこで鹿島フジクラは、アクセスポイントを大幅に削減する画期的な技術を開発しました。

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

Wi-Fiアンテナケーブル

 

をフロアのスラブを貫くように設置し、複数の階を1つのアクセスポイントでカバーするものなのです。

従来のWi-Fi設備。フロアごとにAPを設置する必要があった(以下の資料、写真:鹿島、フジクラ)

従来のWi-Fi設備。フロアごとにAPを設置する必要があった(以下の資料、写真:鹿島、フジクラ)

新開発のWi-Fi設備。1つのAPがフロアをまたいでカバーする

新開発のWi-Fi設備。1つのAPがフロアをまたいでカバーする

このWi-Fiアンテナケーブルは「漏えい同軸ケーブル」というもので、同軸ケーブルの外部導体のところどころにスロットが設けてあり、ここから電波の一部を外部に放射します。

鉄道や道路トンネルなどでラジオを聞くために、昔から用いられている技術です。最近はWi-Fi用にも使われており、ホテルの天井などに横方向に敷設される例も出てきました。

Wi-Fiアンテナケーブルの構造

Wi-Fiアンテナケーブルの構造

ホテルなどの天井には横方向に設置し、電波障害物による不感対策に使われている

ホテルなどの天井には横方向に設置し、電波障害物による不感対策に使われている

鹿島とフジクラが開発した技術は、このWi-Fiアンテナケーブルを床スラブの貫通穴を通じて縦方向に敷設した点がユニークです。

アンテナケーブルからの電波の到達距離は、アクセスポイントから離れるにつれて傘状に短くなります。

この特性を考慮して、アクセスポイントを上階と下階に交互に配置することにより、効率的に電波のカバー範囲を設けています。

アクセスポイントを上下の階に交互に設けることで効率的に電波のカバー範囲を設定できる

アクセスポイントを上下の階に交互に設けることで効率的に電波のカバー範囲を設定できる

この技術は、2015年2月に竣工した仙台市泉区の有料老人ホームに初めて導入されました。出入り口の状況をどこからでも見られる「入居者見守りシステム」の一環として設置したものです。

この技術を導入したところ、当初、27台いるはずだったアクセスポイントが、

ナ、ナ、ナ、ナント、

 

3台まで削減

 

することができたのです。

この結果、機器の購入や工事費などの初期導入コストは約50%削減でき、維持管理コストについては約90%の削減を達成できました。

アクセスポイントは5年程度で更新する必要があることを考えると、20年間でのライフサイクルコストは70%以上削減できる見通しとのことです。

建設業界とIT業界が組むことにより、これからも新しい価値創造が可能になりそうですね。

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