管理人のイエイリです。
オフィスビルやホテルだけでなく、いまやすべての建物でWi-Fi(無線LAN)は欠かすことができない設備になってきました。
ところがWi-Fiの電波は、鉄筋コンクリートや金属製のデッキプレートを使った建物の床を貫通することができないので、これまでは各階や各部屋にWi-Fiのアクセスポイント(AP)を数多く設置する必要がありました。
電気代や機器の保守点検・更新のコストは、建物のライフサイクル全体にわたって相当、かさんできそうですね。
そこで鹿島とフジクラは、アクセスポイントを大幅に削減する画期的な技術を開発しました。
ナ、ナ、ナ、ナント、
Wi-Fiアンテナケーブル
をフロアのスラブを貫くように設置し、複数の階を1つのアクセスポイントでカバーするものなのです。
このWi-Fiアンテナケーブルは「漏えい同軸ケーブル」というもので、同軸ケーブルの外部導体のところどころにスロットが設けてあり、ここから電波の一部を外部に放射します。
鉄道や道路トンネルなどでラジオを聞くために、昔から用いられている技術です。最近はWi-Fi用にも使われており、ホテルの天井などに横方向に敷設される例も出てきました。
鹿島とフジクラが開発した技術は、このWi-Fiアンテナケーブルを床スラブの貫通穴を通じて縦方向に敷設した点がユニークです。
アンテナケーブルからの電波の到達距離は、アクセスポイントから離れるにつれて傘状に短くなります。
この特性を考慮して、アクセスポイントを上階と下階に交互に配置することにより、効率的に電波のカバー範囲を設けています。
この技術は、2015年2月に竣工した仙台市泉区の有料老人ホームに初めて導入されました。出入り口の状況をどこからでも見られる「入居者見守りシステム」の一環として設置したものです。
この技術を導入したところ、当初、27台いるはずだったアクセスポイントが、
ナ、ナ、ナ、ナント、
3台まで削減
することができたのです。
この結果、機器の購入や工事費などの初期導入コストは約50%削減でき、維持管理コストについては約90%の削減を達成できました。
アクセスポイントは5年程度で更新する必要があることを考えると、20年間でのライフサイクルコストは70%以上削減できる見通しとのことです。
建設業界とIT業界が組むことにより、これからも新しい価値創造が可能になりそうですね。